健康なんでも相談室

正常眼圧緑内障ってどんな病気?

回答者:  東部医師会員 八田史郎

質問

昨年秋に職場の健診で緑内障の疑いありとのことで近くの眼科を受診したところ、正常眼圧緑内障と言われました。今、点眼を1種類していますが、日常生活ではどんなことに注意すればよいでしょうか?失明することはありませんか?

回答

緑内障は昔は「あおそこひ」などとも言われて、もともと眼球の内圧(眼圧)が高くなって、視神経が圧迫されて障害され、視野が狭窄して目が見えにくくなる病気でした。しかし、眼圧が正常値にもかかわらず、緑内障と同様に視神経が障害され、視野が狭窄してくる方が、日本で特に多いということが近年わかってきており、正常眼圧緑内障と呼ばれています。よほど進行しない限り自覚症状はない場合が多く、職場の健診で発見されたり、他の事で眼科を受診された際に、偶然に眼底検査で見つかる場合が多いのです。眼圧に対しての視神経の丈夫さというのは個人差が大きく、正常眼圧緑内障の方は視神経が弱いために通常の眼圧でも耐えることができないと考えられています。ですから、正常眼圧であっても、やはりさらに眼圧を下げることが最も有効な治療で、眼圧下降作用のある適切な点眼薬を眼科医のもとで処方してもらって、用法を守って毎日欠かさずに使用することが最も重要です。日常の生活で特に制限はありませんが、コーヒーやお茶などカフェインはやや控えめにして、バランスのよい食生活、心身ともにリラックスできる環境が望ましいと思います。

最近の疫学調査では、40歳以上で17人に1人は緑内障とされており、そのほとんどが正常眼圧緑内障です。正常眼圧緑内障は非常にゆっくり進行することが多いのですが、個人差がありますので定期的に眼科で視野検査をして病期と進行のスピードを把握することが重要です。正常眼圧緑内障は決して珍しい病気ではなく、その程度は実にさまざまです。緑内障だから失明すると神経質に考える必要はありませんが、長い目で一生付き合っていかなければなりません