健康なんでも相談室

左人さし指の腫れ―温熱療法とマッサージを

回答者:  鳥取県立中央病院整形外科 山本清司

質問

52歳、女性。1年余り前から左手人差し指の第二関節に疼痛があり、リューマチかと思い整形外科を受診しました。しかし、リューマチではなく、血行の悪さによる冷えのためだろうといわれ、モビラ―ト軟膏を処方されましたが効果が感じられませんでした。季節に関係なく関節に腫脹があり、疼痛も時々あり、指の屈曲に制限があり、朝が一番屈曲できません。元々冷え性で、寒い季節には手、足がとても冷たくなります。何か他の病気ではないかという不安感と、他の効果的な治療方法がありましたらお教えください。

回答

ご質問のとおり、リュウマチの好発年齢ではありますが、リュウマチの診断基準のひとつであります両手の対照的な腫れがなく、左の人差し指のみの腫れを訴えておられ、また、二度の血液検査の結果がいずれも「陰性」というところから、リュウマチは否定的なものと考えられます。それではご質問の方の疾患は何なのかを考えますに、年齢が50歳代の女性であること、症状があらわれているのが片方の人差し指のみで、季節に関係なく腫れと痛みがあり、動きに制限があることなどから、恐らく変形性関節症ではないかと思われます。

それでは変形性関節症とはどういう疾患かと申しますと、原因は明らかになってはおりませんが、40歳以上の女性に好発し、第1関節や第2関節の背側が節くれ立った様に隆起したり、関節運動が制限され硬くなり、痛みを伴ったりします。第1関節に生じるものをヘバーデン結節、第2関節に生じるものをブシャール結節と呼んでおりますが、発生頻度は、圧倒的に第1関節に生じるヘバーデン結節が多く、第2関節に生じるブシャール結節は多いものではありません。ご質問の方は、後者にあたるのではないかと考えられます。本疾患の一般的な経過は、統計的に見ますと、数年間を経て痛みおよび変形の進行が止まるタイプと、進行がとまらず悪化するタイプの2群に分けられ、その背景因子はいまだよくわかっていません。

治療法は、保存的治療が原則です。罹患手を冷やさないように注意し、積極的に温める温熱療法をされたほうがよいと思われます。ご質問の方は、朝方が一番動かしにくいとおっしゃっておられますので、そのような場合には、塗り薬を十分に患部へ刷り込むようにマッサージをしてみてください。痛みが強いときには、痛み止めを服用されてもよいと思います。先に述べましたが、自然に症状が落ち着くタイプもありますが、一方で症状がますます悪化するタイプには、やはり手術的治療方も有効です。その場合は、いたんだ関節を削り、固定してしまう方法と、人工指関節に入れ替える関節形成術とがあります。ただし、第1関節を固定する場合にはさほど日常生活に不自由を感じることは少ないのですが、第2関節を固定してしまいますとかなり不自由が生じます。

また、人工指関節も長期的には有効なものとは言いがたいので、手術的治療の前には主治医の先生と十分にご相談されますことをお勧めいたします。