健康なんでも相談室

家庭用血圧計を正しく使う-数回測定し、近い数値を-

回答者:  鳥取県医師会理事 吉田眞人

質問

最近血圧が高めになり、自動血圧計を購入して測定していますが、測るたびに数値が変わる為、信用しても良いものか戸惑っています。どうしたらよいでしょう。

回答

最近、自動血圧計が家庭に普及し、高血圧管理・治療の手助けとなっています。しかし、測定するたびに数字のばらつきが多く、信頼性に悩むケースも多く見られます。

血圧とは、心臓から押し出される血液が、血管壁に与える圧力の事です。収縮期(上の)血圧は心臓の収縮に伴い血管壁を押し広げる圧力、拡張期(下の)血圧は心臓が拡張し、全身から心臓に血液が戻ったとき、血管壁にかかる圧力です。我々医療従事者は、主に水銀血圧計を用います。腕帯(カフ)を上腕に巻き圧を上げてゆくと、動脈壁が押しつぶされ血流が遮断されます。そこから徐々に圧を緩めると、つぶされた血管にわずかな隙間が空き、その瞬間血液が流れ始める音が出始めます。このときの圧が収縮期血圧です。さらにカフが緩むと、圧迫変形のない元の血管に回復し、血液がこすれ流れる音が消えます。このときの圧が拡張期血圧です。

自動血圧計は、カフの装着が正しく行われなかったり、カフの締め付け・緩めのスピードが一定である為、血流音の始まりと消失の微妙な検知が出来なかったり、カフの高さが心臓の高さになかったりで、測定にバラツキが出ます。又、簡便な手首血圧計は、上腕にカフを巻くタイプより誤差が出やすいようです。

手首と上腕の血圧には、元々10~20mmHgの差があり、さらに血圧計を巻いた手首の位置が心臓の位置より、10cm上がると8mmHg低くなり、10cm下がると8mmHg高くなるので、カフの位置を心臓の高さに置いて測定して下さい。

いずれにしても、使用説明書をよく読み、正しく使うことが大切ですし、深呼吸や安静をとり、数回測定し、近い値の3つ位を平均し、採用されたらと思います。経験的に自動血圧計は、少し高めの数字が出るように思います。

困られたら、かかりつけ医のところで、手持ちの血圧計と水銀血圧計とで、同時に測定してもらい、自分の血圧計がどの位の誤差があるものかを把握されたらと思います。