50代の女性です。昨年の職場検診で、総コレステロールが基準値より高かったため、主治医に相談したところ、年齢から考えると決して高いものではないと言われました。しかし、先頃コレステロールが高いと心筋梗塞・脳梗塞になりやすいといったことを聞き、少し不安になっています。血圧は正常で体型は痩せ型ですが、私のような場合、どの程度の割合で心筋梗塞・脳梗塞になるものでしょうか。なお、10年前に子宮筋腫のため子宮全摘手術を受けています。
コレステロールとは、脂質の一種で血液中だけでなく、全身の細胞に分布し、細胞膜を維持する役割を持ち、人間が生きていく上で不可欠な存在です。コレステロールは肝臓で作られ一定量がいつも血液中に供給されており、存在していなくてはいけないものです。低ければ低いほどよいと考えるのは間違いです。しかし、現代人は食生活習慣の変化や、運動不足等により、血中総コレステロール値が正常より高くなる人が増加する傾向にあると言われています。検診で測定されている総コレステロールは、いらない脂質を肝臓へ運び動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロールと、血管の壁にたまり動脈硬化を進める悪玉(LDL)コレステロールに分けられます。従って、総コレステロール値より悪玉コレステロール値を測定してみることが大事です。更年期の女性のコレステロール値を測定してみますと、総コレステロール値が少し高くても善玉コレステロール値が非常に高いため、悪玉コレステロール値が正常の場合もよくあります。
50歳代の女性がどの位の率で心筋梗塞や脳梗塞になるかという質問に直接答えうるデータは持っていませんが、女性ホルモンは血管を保護する作用と血液の中の脂質を正常に保つ作用があるため、一般的に女性は動脈硬化が進行し難く、男性より動脈硬化の進展が10年遅れるといわれております。
質問者は子宮全摘をしておられますが、卵巣が残っておれば問題ありません。従って、女性は心筋梗塞や脳梗塞の生じる割合は、男性と比べて50歳代で1/5、70歳代でも1/2と言われています。平成16年の鳥取県の死亡統計をみても、心筋梗塞261人中40~59歳では20人(うち女性は4人)、脳梗塞は542人中4人(うち女性1人)と極めて少ないのが現状です。過剰な心配をされないよう、健診で指摘されたことを健康づくりの良いきっかけと考え、今から生活習慣を見直して改善に努力をしましょう。