健康なんでも相談室

インフルエンザ予防接種―予防に勝る治療法はない―

回答者:  鳥取県医師会常任理事 天野道麿

質問

67歳の女性です。現在、高血圧・高脂血症・糖尿病にて通院治療をしています。10月下旬に町からインフルエンザ予防接種の予診票と接種券が郵送されてきました。インフルエンザワクチンを毎年連続して接種する理由、またインフルエンザワクチン接種後の効果はどのくらいの期間あるのか教えてください。

回答

インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスは、毎年少しずつ性質を変えながら流行しますので、それに対応するためインフルエンザワクチンは毎年そのシーズンの流行を予測して製造されます。現在のインフルエンザワクチンはA型(ソ連型・香港型)、B型の流行に対応したものとなっています。従って、前の年に予防接種を受けたからとか、インフルエンザに罹ったからといって次の年のインフルエンザワクチン接種は必要ないということにはなりません。

65歳以上の人は1回の接種で有効率70~90%と報告されていますので、67歳でしたら1回の接種で十分と思われます。しかし13歳未満の人は2回接種(免疫効果を高めるには4週間隔が最適です)を推奨します。

インフルエンザワクチンを接種しますと抗体(免疫)ができますが、ワクチンの予防効果が期待できるのは2週から5ヵ月程度と考えられています。今日注射して明日から効果が出るという訳にはいきません。従って効果的な接種方法は、インフルエンザの流行期が通常12月の終わりから翌年3月頃ですので、これに備えて少なくとも11月から12月中旬頃までに予防接種をされたらよいと思われます。

また、インフルエンザ予防接種をしたらかぜにも罹らないと思っている方がありますが、インフルエンザとかぜのウイルスは異なったものですので予防接種をされてもかぜに罹る人はあります。

とにかく予防に勝る治療法はありませんので、インフルエンザ予防接種を毎年受けられることをお勧めします。