健康なんでも相談室

アトピー性皮膚炎とスキンケア―日常生活での注意事項―

回答者:  西部医師会員 石原政彦

質問

最近、身体に湿疹が出てかゆいため皮膚科を受診したところ、アトピー性皮膚炎と言われました。軟膏をもらって塗っていますが、入浴時には湿疹部が気持ち悪いので、石けんを使ってゴシゴシ洗っています。清潔にと心がけていますが、一向に治りません。食べ物などに問題があるのでしょうか。

回答

皮膚は表皮と真皮より成り立ち、最外層に角層を形成して人体を外界から守っています。角層の表面は皮脂膜で被われ、角層内の水分の貯留をはかり(保湿)、蒸発を防いでいます。保湿能が低下したり、皮脂膜がうまくできないと、体表からの水分蒸発が進み、乾燥肌になります。

アトピー性皮膚炎の方は、体質的に乾燥肌が存在し、冬になると空気の乾燥に伴い皮膚表面の乾燥から湿疹が生じます。乾皮肌を改善するために、日常生活で以下の点に気をつけて下さい。1.肌着は刺激の少ない木綿製品を選ぶ。2.洗濯での漂白剤や柔軟仕上げは、衣服に残ってかぶれの原因になることがあり、使用に際しては注意する。洗濯時のすすぎはしっかりする。3.皮膚のケアのため毎日の入浴をする。お湯温度はぬるめとし、多少汗をかく程度入る。乾燥肌の場合、お湯だけで汚れや垢は十分落ちます。固形石鹸やボディソープなどの使い過ぎや、ナイロンタオル等でゴシゴシ擦ると皮脂膜を傷つけるので、痛んだ皮膚面には用いない。使用する場合にはよく泡立て、素手で撫でるようにつけ、擦らずに洗い流す。頭、顔、耳後部、脇の下、外陰部など汚れが気になる部位へのスポット使用もよい。尚、ベビー石鹸は脱脂力が強いので、乾燥肌には適さない。4.部屋の乾燥を防ぐため、加湿器や観葉植物などを置く。就寝時のコタツや電気毛布なども、痒くなる場合には使用しない方がよい。

最後に軟膏療法には保湿と湿疹治療がありますので、詳しくは皮膚科専門医に相談して下さい。食事に関しては、乳幼児期に全身性の湿疹が生じる場合、卵や牛乳で代表される食事性の悪化因子の関与が疑われますが、季節性がある場合や大人ではあまり問題となりません。