健康なんでも相談室

アスペルガー症候群―誤解されやすい子どもたち―

回答者:  東部医師会員 竹内亜理子

質問

中学1年の男の子です。最近、頭痛など体調不良を訴えて、学校を休みがちになりました。元来友達ができにくい方で、コミュニケーションが苦手、また頑固で融通がききません。相談機関でアスペルガー症候群では?と言われました。これについて教えてください。

回答

アスペルガー症候群は、自閉症のスペクトラム(連続体)に入る発達障害の一つです。人と話をしてもかみ合わない、変わった行動や言動をとり、言い出したら聞かないなどの症状がみられます。原因は十分解明されてはいませんが、親の育て方や愛情不足が原因ではありません。日本では、これまであまり知られなかったために、親のしつけのせいにされたり、わがままな子とみられ、適切な対応がとられて来ませんでした。そのため、叱責や無理強いなど誤った対応で、情緒不安定や心身症、うつ状態となり、学校や職場での不適応につながることが少なくありませんでした。

行動特徴としては、①他者との社会的関係を持つことが苦手(友達が出来にくく集団の中で浮いてしまう)、②コミュニケーションの質的異常(自分の興味に沿って一方的に話すが人の話は中々聞けない、相手の意図がわかりにくい)、③想像力の障害(興味関心の限定、こだわり、パターン化した行動)④感覚の過敏性などがみられます。幼児期早期より、その行動特性は見られますが、知的には正常です。一方、機械的な暗記が得意、素直で正直、正義感が強く、真面目で頑張り屋が多いなど、優れたところも沢山みられます。

援助の基本は、まず正しく理解をすること、困った行動もアスペルガー症候群のハンディキャップから生じています。強い叱責やからかいは避け、肯定的な見方と声かけをしましょう。何より周囲の温かい眼差しと適切なケアが大切です。具体的な接し方については、自閉症の専門機関や発達障害を専門とする医療機関で助言を受けてください。