保健の窓

大腸がん手術と人工肛門

鳥取赤十字病院 副院長 蘆田啓吾

 

 

 「人工肛門(ストーマ)が必要です」と医師から説明されると、多くの方が驚き、不安を感じます。しかし、人工肛門は「生活を諦めるためのもの」ではなく、病気を治したり、安全に手術を行ったりするための大切な治療の一つです。

 人工肛門とは、おなかに新しく便の出口をつくり、専用の袋(ストーマ装具)に便をためる仕組みです。大腸がんなどで肛門が使用できない場合や、一時的に腸を休ませる必要がある場合に作られます。がんの進行度や手術の内容によって、一時的なものと永久的なものがあります。大腸がん手術の進歩によって永久的なものは減少しており、一時的なものが増加傾向にあります。

 「普通の生活はできるのだろうか」と心配する方も多いですが、多くの方は退院後に仕事や旅行、スポーツ、入浴などをこれまでとほぼ同じように楽しんでおられます。最近の装具は性能が向上し、においや漏れも適切に管理できます。

 ストーマのお手入れは難しそうに思えますが、入院中に専門の看護師(皮膚・排せつケア認定看護師など)が一人一人に合わせて丁寧に指導します。退院後も外来で継続したサポートを受けられるため、一人で悩む必要はありません。

 人工肛門は人生の終わりではなく、新しい生活へのスタートです。不安や疑問は遠慮せず医療スタッフに相談し、正しい知識を身につけることが安心につながります。多くの患者さんが人工肛門と上手につきあいながら、自分らしい毎日を送っておられます。