保健の窓

受けよう!新たな肺がん検診

鳥取大学名誉教授・鳥取県保健事業団副理事長 中村廣繁

 

 

 2026年1月、厚生労働省が全国がん登録に基づくがんの5年生存率を公表しました。主ながんのワースト3は膵臓がん、肝臓がん、肺がんで40%にも届きません。特に、がん死亡率第1位の肺がんは早期発見・治療が大切で、検診の役割が重要です。その肺がん検診がこのたび大きな転機を迎え、国が本腰を上げた大改革に期待がかかります。

 新たな肺がん検診は、19年ぶりに改訂された有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン2025年度版に沿って変更されました。最大の特徴は、喀痰細胞診の廃止と低線量CTの導入です。前者は喫煙率の低下により喀痰細胞診で発見される肺がんが減少したこと、後者は欧米で行われたCTを用いた肺がん検診の臨床試験で、重喫煙者(1日喫煙本数×年数が600以上)の年1回のCT検診で、16~20%の肺がん死亡率の減少が証明されたことによります。

 すなわち、新たな肺がん検診では、50~74歳の重喫煙者には従来の胸部X線+喀痰細胞診を廃止し、低線量CT検査のみが強く推奨されることになりました。今後は非喫煙者や軽喫煙者に対しても適応の拡大が期待されます。ここで大切なことは、CT検査が低線量であるため、一般病院でのCT検査とは異なり、放射線による健康被害の心配がほとんどない検診であるということです。

 鳥取県保健事業団は、鳥取をがん検診の先進県とするため、一昨年から胸部X線のAI診断を開始し、本年度は高精度の低線量CT装置を搭載した検診バスを導入しました。がん検診の受診は愛する家族への贈り物です。皆さまの健康への心構えを変え健康長寿のために、ぜひ新しい肺がん検診を受けてみましょう。