保健の窓

うつ病~治療の最前線から~

社会医療法人明和会医療福祉センター 渡辺病院 佐々木 彩

 

 

 もうすぐ新年度になりますね。春は環境変化や気候変化に伴い、緊張や不安が生じる方もいるかもしれません。うつ病は気分の落ち込みや意欲の低下が続き、日常生活に支障が出る心の病気です。決して性格の弱さや怠けではなく、脳の働きやストレスが関係していると考えられています。日本でも多くの人が経験し、誰にでも起こり得る身近な疾患です。

 主な症状としては、憂うつ感と興味や喜びの消失(趣味や日課が楽しめなくなる)を代表として、疲れやすさ、不眠または過眠、食欲の変化、集中力や判断力の低下、自分を責める気持ちなどが見られます。重度になると「消えてしまいたい」と感じることがあります。

 このような症状が2週間以上続く場合は受診をお勧めします。診断は医師による詳しい問診が中心で、症状の内容や重症度、期間、生活への影響を確認します。必要に応じて血液検査なども行います。

 治療は抗うつ薬や睡眠薬などによる薬物療法と休養、認知行動療法などの精神療法、家庭や職場、学校での環境調整を組み合わせることで、多くの方が回復に向かいます。薬での治療は効果が出るまで数週間かかることがあり、自己判断で中断しないことが大切です。

 近年は磁気で脳を刺激する反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS療法)も保険診療で行われており、難治性うつ病の治療選択の一つとなっています。rTMS療法は、鳥取県内では渡辺病院と鳥取大学医学部附属病院で導入されています。

 予防や再発防止には、十分な睡眠、規則正しい生活、適度な運動、人とのつながりを保つことが大切です。つらさを一人で抱え込まず、重症化する前に、専門医療機関や相談窓口に相談することが回復への第一歩です。