保健の窓

沈黙の臓器・膵臓のトリセツ

鳥取市 内科・消化器内科 片原ごとうクリニック 後藤大輔

 

 

 膵臓は胃の裏側に位置し、食べ物を消化する酵素と血糖値を調整するホルモンをつくる重要な臓器です。しかし、おなかの奥深くにあるため異変があっても気づきにくく、「沈黙の臓器」と呼ばれています。症状が出にくいからこそ、膵臓の病気を正しく知ることが大切です。

 まず、良性の病気として代表的なものが急性膵炎と慢性膵炎です。急性膵炎は突然おなかの上の方が強く痛くなる病気で、重症の場合は命に関わることもあります。慢性膵炎では膵臓が徐々に硬くなり、消化不良や体重減少、糖尿病を引き起こすことがあります。これらは飲酒、喫煙、脂肪の多い食事、肥満など生活習慣と深く関係しています。

 また、検査で偶然見つかる膵嚢胞(嚢胞‥袋状の変化)は多くが心配ありませんが、一部は将来がんに変わる可能性があるため、定期的な検査が重要です。

 一方、悪性の病気の代表が膵がんです。膵がんは症状が出にくいことが最大の特徴です。おなかや背中の痛み、体重減少、黄疸などが出る頃には進行していることが少なくありません。そのため、早期に発見することが難しい病気として知られています。しかし、健診や画像検査で腫瘍が小さい段階で見つかれば治療成績は大きく改善します。最近では膵管のわずかな拡張や膵の部分的な萎縮など、画像検査での「間接的なサイン」を手がかりに早期発見される例も増えています。

 膵臓の病気を防ぐには、禁煙、節酒、適度な運動、バランスの良い食事が基本です。特に糖尿病の急な悪化や原因不明の体重減少は膵臓の病気のサインとなることがあり、早めの受診が大切です。沈黙の臓器だからこそ、定期的な健診や超音波検査を活用し、膵臓の健康を守っていきましょう。