保健の窓

「できた!」が自信に

鳥取市 イッポラボ合同会社 田中大一

 

 

 近年、子どもたちの体力や運動能力の低下が指摘されています。背景には外遊びの減少や生活習慣の変化など、さまざまな要因があります。その中でも大切なのは、子どもの発達段階に応じた適切な運動体験を積むことです。

 一般的に、幼児期から学童期にかけては神経や筋肉がめざましく発達します。この時期に「走る・跳ぶ・投げる・バランスをとる」といった基本的な動作を経験することが、その後の運動能力の土台となります。例えば、鬼ごっこや縄跳びなど、遊びの中で自然に体を使うことが大きな意味を持ちます。

 小学校中学年から高学年にかけては、持久力や体幹が育つ時期です。姿勢を保つ力を養うことは、将来的なケガの予防や勉強の集中力の向上にもつながります。日常的に片足立ちやバランス運動などを取り入れることで、子どもが自分の体をうまくコントロールできるようになります。

 運動を通して得られる「できた!」という成功体験は、自己肯定感を高めます。例えば、縄跳びの前跳びを1分間で何回跳べたかを数えてノートに記録する、といった工夫をしてみてください。数字で成長が見えると「前回より多く跳ぼう!」と意欲が生まれ、保護者も一緒に喜びを分かち合うことができます。家庭でも数を数えたり時間を計ったりするなど、小さな寄り添いが子どもの自信につながります。

 幼児期から学童期にかけて大切なのは、記録や成績よりも「楽しく続けられること」。地域や学校、家庭が力を合わせて運動の機会を届けることで、子どもたちは体だけでなく「自分に自信が持てる心」も育んでいけるのです。