保健の窓

肺炎を予防するために

鳥取県立中央病院 院長 千酌浩樹

 

 

 肺炎は多くの方がかかる病気で、時に高齢の方は重症になることがあります。実際に、2022年の厚生労働省の統計では、肺炎は日本人の死因の第4位を占めています。肺炎は特に冬に起こりやすい病気です。

 肺炎は、細菌やウイルスなどの病原体が肺に感染して起こります。これらの病原体は人の口から出てくる「飛沫」と呼ばれる小さな水滴に乗って、人から人に移っていきます。病原体を吸い込むと、喉や鼻の奥にしばらく定着しますが、それだけであれば肺炎はまだ起こりません。喉や鼻の病原体の量が多い場合や、自分の免疫力が低下しているときに、これらの病原体がさらに体の奥の肺に到達し、肺炎を起こします。

 このため、体の抵抗力が落ちる可能性がある高齢者、喫煙者、もともと肺の病気のある方、尿病や糖尿病、心臓病など持病のある方、風邪やインフルエンザなどの感染症に最近かかった方などは肺炎を起こしやすい状態にあると言えます。

 肺炎にかかると多くの方は熱が出ますが、それ以外にさむけ、だるさ、せきや黄色~膿のようなたん、胸の痛みなどが起こります。心当たりの症状があれば、早めに医療機関を受診していただければと思います。

 肺炎を予防するためには、飛沫をもらわないよう、特に冬の人混みを避ける、マスクをする、免疫力を落とさないようによく休養し、十分な栄養をとる、ワクチンを打って抵抗力を上げるなどが重要となります。最近、肺炎球菌ワクチン、コロナワクチン、RSウイルスワクチンなど、各種のワクチンが接種できるようになりました。ぜひかかりつけの医療機関にご相談ください。