団塊の世代が2025年に75歳以上の後期高齢者となり、少子高齢化、多死の時代が来ました。どこで人生の最期を迎えるか、すなわち、看取りの場所を考える必要があります。病院、施設、自宅、介護保険と医療、保険の知識が求められます。
病院は急性期医療が主であり、診断、治療が優先され高度医療が提供されます。24時間医師、看護師が常駐します。しかし、地域包括ケア病棟やリハビリ病棟においても入院期間に制限があります。必ずしも看取りの場所ではありません。
入院中に退院後のこと、施設なのか自宅なのかを相談します。施設には介護保険の施設と、介護保険外の施設があります。施設は病院でありません。病状の安定された方が入所され、多職種協働で医療・看護・介護などが提供されます。医療レベルは施設により大きく異なります。
講演では「はまゆう」の老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホームでの看取りを紹介します。在宅では老老世帯、老老介護、認認介護、独居老人、孤独死があります。自宅看取りには、「他人を家に入れたくない」「近所の人に知られたくない」などという最初の大きな壁があります。在宅医療には介護支援専門員、訪問診療、複数の医療機関との連携、訪問看護、訪問介護、訪問入浴、ベッドや医療機械導入など多職種が連携します。
「高齢の夫が一人で介護」「施設から自宅に戻って看取り」「癌末がん、自宅で最期を迎えたい」「生まれた家で死にたい」など、具体例な事例も取り上げます。私は中学3年の時、自宅で母を看取り、医師になりました。大学病院などの急性期医療を経て、現在、老健、特養、在宅で穏やかな終末期医療、看取りに取り組んでいます。看取りを考える参考になれば幸いです。