近年、おしりに負担のかかる食生活や生活習慣によって、おしりに何らかの問題を抱え、痔ではないかと悩んでいる人が増えているようです。痔とは肛門や肛門周辺の病気の総称ですが、主なものとして痔核(じかく)、裂肛(れっこう)、痔瘻(じろう)の三つの型があります。
痔核とは「いぼ痔」と一般に言われているものです。排便時の息みなどで肛門に強い負担がかかったり、肛門周囲の血の巡りが悪くなって起こる病気です。肛門の中や外が腫れた状態になり、痛みや出血を伴います。排便時に外に飛び出してくることもあります。
裂肛とは「切れ痔」と言われるものです。硬い便や逆に下痢になることで肛門の出口付近が切れて起こる病気です。出血や排便時の強い痛みを伴います。慢性化すると肛門が狭くなったりポリープができたりします。
痔瘻とは「あな痔」とも言われます。肛門の入り口にあるくぼみから細菌が入り、感染して膿がたまる「肛門周囲膿瘍」という病気が始まりです。膿が出た後に肛門内部に通じるトンネルが残った状態になります。肛門周囲が腫れて痛んだり、肛門周囲の傷から膿が出てきます。
痔の治療には大きく分けて保存療法と外科療法があります。保存療法とは、薬を使って症状を和らげる「薬物療法」と、排便習慣や食生活などの生活習慣を見直すことで治療を行います。多くの場合はこの方法で症状は改善します。
保存療法で改善しない場合には、手術などの「外科療法」を行います。ただし実際手術を受ける患者さんは、全体の1~2割程度です。痔の外科療法は痔の種類、状態によってさまざまな方法があります。詳しくは肛門疾患専門医にご相談ください。