3月下旬、某製薬会社の「紅こうじ」を原料とした機能性表示食品で腎臓病が発生したとニュースが駆け巡り、テレビ、新聞、ネットで連日報道されました。いまだに原因は特定されていないものの紅こうじそのものが腎障害を引き起こしたわけではなく、紅こうじに混入した予期せぬ物質が腎障害の原因と考えられているようです。透析例や死亡例もあり、腎臓病の恐ろしさを痛感された方も多くいらっしゃると思います。
腎臓はいろいろな物質を尿として排せつするため、今回の「紅こうじ」のように薬剤や食品等により急性の腎臓病を起こすことがありますが、圧倒的に多い腎臓病は慢性腎臓病(CKD)です。
糸球体ろ過量が60ミリリットル/分/1.73平方メートル未満、またはたんぱく尿等の腎障害が3カ月以上続くとCKDと診断されます。CKDは患者数が多く、経過が悪いため対策が重要です。糖尿病、高血圧症等の生活習慣病がCKDの原因となります。
現在、わが国には1480万人のCKD患者がいると推定され、成人の7人に1人がCKDということになります。透析患者は約34.7万人で360人に1人ですので、CKDから末期腎不全まで進行する方はごく一部ですが、腎臓病が進行する前に心筋梗塞、心不全、脳卒中等の心血管病で命を落とす方が多いことがわかっています。
CKD対策としては早期発見、早期治療が重要です。早期に発見するためには定期的に健診を受けて、腎機能、たんぱく尿をチェックすることが大切です。
治療も進歩しており、一部の糖尿病治療薬が糖尿病のないCKDの方でも腎機能の悪化を抑制したり、死亡を減らすことがわかっています。CKD対策により末期腎不全や死亡のリスクを減らすことが望まれています。