保健の窓

あなたの腸は絶好腸?

公益財団法人鳥取県保健事業団 理事長 秋藤洋一

 

 

 わたしたちのおなか(腸)の中には複雑で多様な細菌が100兆個もすんでいます。これを腸内細菌といいます。一人一人で違っていて、たとえ双子でも、まったく違う腸内細菌を持っています。

 腸内細菌は、単に人の食べた物をエサとしてすんでいるというだけなのですが、私たちの体は、食べた物からだけでなく、菌がつくってくれる栄養素や有益な物質で支えられているのです。ところが一方で菌のつくりだす物質が糖尿病、高血圧、がんのほか、睡眠やストレス、認知症やうつ病などと深く関わっていることも明らかになってきました。さらには、同じ食事をとっても太りにくい・太りやすい、アレルギーになる・ならない人があるように、一見「体質」とされていることにまでも、腸内細菌が関係しているのです。

 なぜ、腸内細菌は人にとって良い方にも悪い方にも働くのでしょうか。実は、腸内細菌は、善玉菌、悪玉菌、日和見菌に分けられ、これらのバランス具合が、良い方、悪い方に関係するかのカギを握っているのです。このバランスの良しあしを簡単に見分けるおすすめの方法は、便をよぉ~く見てください、自己健診の場がトイレです。理想的な便はバナナ状で、色は黄色から黄褐色、水にぷかぷか浮いて、水洗でパッと花火のように散ります。悪玉菌が多くなると褐色が濃くなり、悪臭がします。

 ではどのようにすれば理想の便をつくることができるのか。それには食事が大切で、特に根菜、海藻、豆、果物などの善玉菌が好む食物繊維を意識してとることが重要です。

 生まれもった遺伝子は変えられません。でも、食習慣を変えることで腸内細菌のバランスを保ち、病気になりにくい体をつくることができるということです。