保健の窓

健診結果を健康に生かすために

公益財団法人鳥取県保健事業団 理事長 秋藤洋一

~健康寿命の延伸を目指して~

 

 メタボリック症候群は、「メタボ」と省略され、2000年代後半ごろより耳にすることが多くなりました。単に太っていることや、腹回りが大きいと間違って理解されることが多いようです。メタボリック症候群の考え方にはいろいろなものがあり、国によっても異なっています。日本では、特に「内臓脂肪」に着目した考え方を採用しています。この理由は、肥満のうちでもおなかの内臓に脂肪がたまりおなか回りが大きくなる「内臓脂肪型肥満」が、高血圧症や脂質異常症(コレステロールや中性脂肪の異常)、糖尿病を引き起こし、その結果、動脈硬化の進行とともに心臓病や脳卒中を起こしやすくなるという考え方から来ています。 

 さらに問題なのは、高血圧症、脂質異常症糖尿病それぞれ単独でも動脈硬化が進みますが、それぞれの程度が低くても、これらがいくつか重なると、より動脈硬化が進み、心臓病や脳卒中の危険がますます高くなることです。

 日本人の死因の第1位は悪性新生物(がん)であることは皆さんよくご存じと思いますが、日本人の死因の第2位は心臓病、第4位は脳卒中で、先ほどの説明の通りいずれも動脈硬化が原因です。実は、心臓病、脳卒中も含め、動脈硬化を原因とする病気を合算した場合の日本人の死因はがんに匹敵します。

 健康診断項目のうち、メタボリック症候群と関係が深く、動脈硬化の指標となる、腹囲、血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖について、健康診断の結果が届いたら放置せずに、普段の生活習慣を見直すきっかけにすることで、健康寿命を延ばし、人生100年時代を生き生きと過ごしていただきたいと思います。