保健の窓

地域包括ケアとは医療福祉、自立と助け合い

米子市 真誠会セントラルクリニック 小田 貢

地域包括ケアシステムとは

 2025年には団塊の世代が後期高齢者になるが、その膨大な人数の高齢者が最期まで地域で生活できるようにするためには、医療や介護保険による公的福祉サービスだけでは不十分になる。なぜなら、医療、福祉サービスの公的サービスは“点”にすぎず、高齢者が一人で生活して行くためには安否確認、食事、ごみ出し、買い物など、日々に連続的に生活を支援してもらう必要がある。これらの毎日連続的に必要とされることをその地域、地域でお互いに助け合いながら(互助)、そして医療、福祉の公的サービスとミックスしながら生活して行けるようなシステムが町、学校区などの単位で作られる必要がある。要するに、地域単位の助け合いの街づくりであり、認知症、障がい者、体力の低下した高齢者、寝たきり独居高齢者などが安心して生活できるような街づくりである。このような社会を創るためには、住民は普段からお互いにコミュニケーションを図り、元気な間は人のお世話、地域のお世話をしなければならない。また住民個人は、自分の将来を地域にゆだねるだけではなく、自らもそのシステムに参加、支援するために健康長寿を目指す必要がある。

  

 

 

地域ケア会議とは

 厚生労働省は、地域包括ケアシステムは全ての市町村で2025年までに構築することを目標としている。しかしながら、地域包括ケアシステムは行政主体ではなく住民主体でつくられるが、そのような自主的な集まりは簡単にできるものではない。そこで地域包括支援センターが指導的立場になり、地域リーダー的な住民、民生児童委員、自治会、社会福祉協議会など各種の団体のリーダー格が集まって形成する。地域ケア会議の機能は以下の5つである。1)個別課題解決 2)ネットワーク構築 3)地域課題発見 4)地域作り、資源開発5)政策形成いずれも地域包括ケアシステムを作り、成長させ維持し、それを時間と共によりレベルの高い助け合いの街づくり、活気のある街づくりをすることに結びつくものであり、地域ケア会議なくしては地域包括ケアシステムの構築維持は困難である。と言っても最初から助け合いのシステム地域包括ケアシステムのために住民が団結することは難しいので、初期にはいろいろな行事、避難訓練などの催しものを行い住民が出会い、心を通わせる機会を作ることも地域ケア会議の機能の一つである。