COPD(シーオーピーディー)という言葉を知っていますか？厚生労働省が国民健康づくり運動「健康日本２１」を提唱しています。その中で、国民の健康を害する重要な疾患について啓蒙しています。優先順位の高い疾患は「がん」、「糖尿病」、「循環器疾患」そして「COPD」です。COPDは慢性閉塞性肺疾患を英語表記したときの略号です。認知度は低いのですが、原因が喫煙ですので男性高齢者の罹患率が高く、まず名称を知ってもらうことを目標としています。 COPDは喫煙者が若いときには症状が乏しいのですが、高齢になると息切れ、咳、痰などの症状がでてきます。喫煙によって、咽頭、喉頭（のど）と肺に炎症、障害が生じて、喉頭癌、肺癌の原因にもなります。さらに全身に炎症が波及して脳血管障害、虚血性心疾患、動脈硬化、筋力低下など多くの併存症をもたらします。結果、寿命が短くなる可能性があります。診断は喫煙歴の存在、症状、画像診断に加えて呼吸機能検査が必要です。最近では、身体活動性が低下するとCOPD患者さんの予後が悪くなることも明らかにされてきています。予防と治療は、まず禁煙です。そして有用な薬物も開発されてきています。
COPD(シーオーピーディー)は、いまだ認知度が低いですが、生活習慣病を予防して健康寿命を延ばす目的の厚生労働省が提唱する「健康日本２１」にとりあげられている重要な疾患です。臨床的には、喫煙が原因で生じる肺気腫、慢性気管支炎が重症化した状態です。治療は、まず禁煙が重要です。喫煙しないヒトは喫煙するヒトに比べて最大１０年間、寿命が長いという報告もあります。自分がタバコを吸わなくても、他人の煙を間接喫煙することで影響を受けますので、健康増進法で公共施設における全面禁煙の推奨や飲食店での分煙化が必要と決められています。 COPD罹患者の増加に伴い多くの新規薬剤が開発されています。自覚症状を認める患者さんには、肺の中の空気の通り道を広げる長時間作用性の吸入・気管支拡張薬が使用されます。薬物は容器にあらかじめ装填されていて簡単に吸入できます。身体活動性を増すことも健康寿命を延ばす秘訣です。運動は特別のことをしなくても軽い散歩でも十分に効果はあります。一方、まだ多数の患者さんが診断されていない現状があります。COPDという名称とタバコの危険性を知っていただくことが皆様と周りのご家族の健康を向上させます。