保健の窓

風邪の話

鳥取県中部医師会員 岡本博文

病原体は150種類以上

かぜとは人間だれしも1年に数回はかかり、悩まされている病気ですが、あらたまってかぜとは何かということになりますと、医学的には、はっきりした定義はありません。一般にはかぜは、熱っぽい、頭が痛い、喉が痛い、鼻水がでる、くしゃみ、咳がでるなどといった症状にたいして、ばくぜんと診断されて、非科学的な病名といえるでしょう。医学的には、鼻炎、咽頭炎、扁桃炎等の上気道炎と思います。かぜといっても軽い鼻かぜからインフルエンザのような重い型のものまでいろいろあります。

かぜの病原体にはとても多くの種類があり、その大部分はインフルエンザを代表とするウィルス(90%以上)で残りが数種類の細菌とマイコプラズマです。現在150種類以上の病原が知られていますが、まだわからないものも30-40%ほどあるといわれています。かぜは10月頃より増え始め、冬になると最高になります。気温が0.5度下がると、かぜは1%増加するといわれます。これは主としてかぜのウィルスの感染や拡がりに低い温度が好ましいためで、寒さだけではかぜをひきません。さらに急激な気温の変化で気道粘膜の血流が悪くなり、かぜ病原に対する抵抗力を失わせるためと考えられます。かぜの流行している時期には、人ごみの多いところは避けましょう。

感染力強いインフルエンザ

子どもは大人にくらべ、一般にその病状は重く、いろいろです。それは小児では、ほとんどのかぜが生まれて初めての感染であることや、免疫力が弱いため、高い熱がでたり、ひきつけをおこしたり、嘔吐、下痢などの症状がよく、同時にみられるためです。一般的には、機嫌がとても悪い、不安興奮状態、またぐったりして、うとうと眠ってばかりいる、元気がまったくなく、食欲もほとんどない、ひきつけ、嘔吐、熱が4-5日以上続くとか、一度下がった熱がまた出てきたときなどは、要注意です。医療機関に行きましょう。

さらに、気管支炎、肺炎を起こしやすく、起こると気道の内腔が狭く、気道粘膜の分泌も多く、痰を出すのも下手なために、すぐぜいぜいいったり、息苦しそうになります。またほとんどが、「人から人へとの空気感染と考えられていますが、感染率はかぜの病原によって違います。例えば、インフルエンザは空気感染力も強く、またたく間に大きい流行の波をつくります。特に、先天性心臓病、慢性呼吸器疾患、免疫不全症、栄養障害などの基礎疾患をもっている子どもさんは充分気をつけてください。