保健の窓

肝臓病の最新の治療について

鳥取赤十字病院 第4内科部長 満田朱理

慢性C型肝炎の最新治療~C型肝炎は治せる時代に~

 従来の慢性C型肝炎の抗ウイルス療法はインターフェロン注射を中心とした治療が主流でした。インターフェロン注射は食欲低下、発熱、筋肉痛等副作用が非常に多く、それを恐れて今までC型肝炎の治療を受けていなかった方もいらっしゃると思います。しかし約3年前よりインターフェロン注射をせずに内服薬だけの抗ウイルス療法が日本でも使えるようになりました。その内服薬はDAA製剤(直接作用型抗ウイルス薬)と呼ばれ、ウイルスに直接作用しその増殖を阻害する薬剤です。DAA製剤を2~3種類組み合わせて使用することによりウイルスを体内から消失させることができます。すなわちC型肝炎を治せるのです。ウイルス遺伝子の型(ジェノタイプ)や薬剤耐性遺伝子変異(薬が効きにくくなるウイルス変異)により治療薬が選択されますが、どのDAA治療においても使用が適切であれば90%以上の治癒率となっています。ご高齢の方やインターフェロン治療が効かなかった方にも期待できる治療です。また、インターフェロン治療の時より副作用はとても少なく、治療期間は最短3か月間と短くなりました。C型肝炎ウイルス陽性の方は今一度かかりつけ医に相談してみませんか。

 

 

 

 

肝がんの早期発見を~肝臓は沈黙の臓器~

 日本における悪性腫瘍の部位別死亡率では肝がんが男性で第4位、女性で第5位と上位を占めています。数年前より肝がんによる死亡者数は減少してきていますが、現在でも年間3万人以上の方が肝がんで亡くなっています。肝がんの主な原因はC型やB型肝炎ウイルスの感染によるものです。よって肝がんの予防のために、C型肝炎ではウイルスの排除、B型肝炎ではウイルスの鎮静化を目指し、肝機能を改善することが大切です。また、肝がんになってしまっても、早期発見により治癒が可能です。現在、肝がんの治療も進歩しており、手術療法以外にラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓療法、化学療法、放射線療法等様々な治療法があります。しかし、定期検査がなされず自覚症状が出現してから肝がんが発見された場合にはかなり進行していることが多く、治療が難しくなります。肝臓は沈黙の臓器ですので、肝炎ウイルスに感染している方は血液検査や超音波検査等の画像検査を定期的に受けましょう。最近ではウイルスを持っていない方の肝がんの割合が増加しており、糖尿病や脂肪肝、多量飲酒等が原因となっていることがあります。肝がんにならないためには生活習慣の改善にも心がけましょう。