保健の窓

肝癌で命を落とさないために、三大肝炎を知ろう

鳥取大学医学部第二内科(機能病態内科学)教授 村脇 義和

 

肝癌は、肺癌、胃癌、大腸癌に次いで癌の死因第4位で、年間約3万5千人の方が亡くなっておられます。肝癌の原因は6割がC型肝炎、2割がB型肝炎ですが、最近では肥満・糖尿病などによる脂肪肝炎からの肝癌が増えています。肝癌は、他の癌と違って、癌の出来る例が慢性肝炎・肝硬変に絞られており、これらを治療すると予防出来る特徴があります。治療での進歩は目覚ましく、C型肝炎ではペグインターフェロンとリバビリン併用療法により50%以上の治癒率が得られています。B型肝炎ではインターフェロンあるいは核酸アナログ製剤(ラミブジン、エンテカビル、アデフォビル)により肝炎の沈静化が可能となっています。

一方、我が国では成人の20~30%が脂肪肝と言われていますが、脂肪肝のうち1割は、単なる脂肪肝ではなくて、炎症や線維化を伴った脂肪肝炎で、肝硬変・肝癌へと進展します。脂肪肝と脂肪肝炎の区別は通常の外来検査では出来ないので、入院して行う肝臓組織検査が必要です。ただ、両疾患の治療方針は同じで、まず食事制限と運動療法により体重を減らすことです。今回の公開講座で、肝癌の予防も含めて、三大肝炎への理解を深めて頂ければと思っています