保健の窓

知っておこう!アルコールとのつき合い方

社会医療法人 渡辺病院精神科 山下陽三

「節度ある適度な飲酒」を守っていますか

暑い日が続いていると、気晴らしにビールを一杯飲みたいな、という気分になりやすいですね。また、ふだんの生活で嫌なことやいろいろな心配事があると、アルコール飲料が手軽に気分を変える便利なものとして利用されることがあります。近ごろは、近所のスーパーやコンビニ、ホームセンターでもいろいろなアルコール飲料を販売しており、缶チュウハイは値段も見た目も、清涼飲料水と変わらないくらいです。

アルコールは昔から「百薬の長」とも言われていますが、一方で「飲んでも、飲まれるな」と釘が刺されています。市販薬にはいろいろな副作用が表示されていますが、アルコールも同様、体質や飲む量に気をつけておかないとさまざまな害が生じます。特に習慣的にたくさんの飲酒が続くと、その人自身の身体や心、家庭内の問題や職場でのトラブルが生じやすく、私たちはアルコール関連問題と総称しています。

さて、アルコール飲料、つまりお酒とどのようにつき合っていけばいいのでしょうか?健康日本21では「節度ある適度な飲酒」を提言し、目標は「一日の平均アルコール摂取量は20グラム(日本酒で1合)まで」です。

酒量のコントロールができない場合、まわりの人が早めの相談を

「男女平等」が進み、特に若い女性がお酒を口にする機会が増えています。しかし女性の場合、男性の半分の量と期間で急速にアルコール依存症や肝硬変となる危険があります。また、妊娠中あるいは授乳しているときの飲酒は子供に影響を与えます。例えば、毎日、日本酒にして2~3合飲酒した場合、胎児期から始まる発育障害(低身長・低体重)、中枢神経障害など胎児性アルコール症候群の発生率が高まります。

また、未成年者の飲酒では、①脳の発達が不十分になる恐れがある。②飲酒量のコントロールができず依存症になりやすい。③性の成長を遅らせる。④危険な行動を起こしやすい。このような理由により、未成年者に飲酒を勧めないよう法律で規制しています。

成人男性でも毎日3合以上の飲酒を続けていると、自分の意志では酒をやめられない病気になってしまい、飲酒運転や自殺・事故の危険が日常的に起こってきます。お酒のことで困っておられる人が身近にあった場合、どのように対応したらいいでしょうか?相談窓口は保健所などの保健師、家族教室、断酒会などの自助グループといろいろあります。一人で悩みを抱え込まないようにしましょう。