保健の窓

生活習慣病予防のために

鳥取県医師会理事 吉田眞人

健診結果理解し生活改善

我国では、2000年から「21世紀の国民健康づくり運動」として色々の施策が推進されてきましたが、糖尿病や肥満者の増加、野菜の摂取不足、車社会による運動不足と国民の健康状態は悪化しています。それに伴い国民医療費は増加し、生活習慣病関連の医療費は3割(65才以上では5割)を占めています。その為2005年12月に策定された「医療制度改革大網」で、生活習慣病有病者・予備群を25%減少させ医療費の伸びを抑える事を政策目標とし、2008年4月から医療保険者に対し特定健診・特定保健指導が義務付けられました。この特徴は40~74才の全ての被保険者・扶養者を対象に、生活習慣病減少の観点からメタボリック(内臓脂肪)症候群の概念が導入されたものです。生活習慣病は自覚症状がないまま進行する為、健診こそ個人が生活習慣を振り返る絶好の機会です。

しかし市町村健診では受診率が低く、せっかく受けながら健診内容の意味がわからないと言われる方も多く、職場健診で注意を受けながら、改善の努力や受診治療せず毎年同じ異常を指摘され続ける人も少なくありません。健診はすすんで受診し結果を理解し、生活改善に生かしてこそ意味があります。具体的には生活習慣病危険因子の保有状況を、自己判断できる健診結果の見方が大切です

数値見比べて異常を発見

今回は、健診結果の見方がわからないと言う悩みに対し、日常診療で出会うケースで日常生活習慣病につながる項目を中心に、健診データの意味と見方をお話しします。血液検査では「(集団の)基準値」と自分の結果を比較する訳ですが、基準値は健康な人が95%含まれる範囲を示します。従ってこの数値をわずかに外れていてもすぐ病気と考えなくてもよいのです。

一方「個人の基準値」は何回か健診を受けてその数値傾向から知る事が出来ます。一回の健診結果が基準範囲でも、今までの数値傾向から外れているときは、早く異常に気づくことができます。実際の測定値や基準値は、現在のところ各健診施設で機器や試薬に違いがある為、多少の違いがあります。検査値の変動を正確に見る為には、できるだけ毎年同じ施設で健診を受けられる方が良いでしょう。各健診項目の判定基準は、関係学会のガイドラインに基づき、保健指導判定値、受診勧奨判定値が示されています。

私たち医師はこの判定値に基づき、皆様方の健診結果を見て指導・治療をさせて頂いていますので、この判定値を理解して頂くことが大事な事となります。公開健康講座では、この点を中心にお話をして生活習慣病予防に役立てて頂きたいと思います。