保健の窓

生活習慣を改善

鳥取赤十字病院 循環器科 小坂博基

動脈硬化の進行抑制

生活習慣を改善して予防できることは、動脈硬化の進行を抑えることです。動脈硬化は年齢とともに進行していきますが生活習慣を改善することにより動脈硬化の進行を抑えて、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心臓病の発症を予防することができます。では具体的にはどのような点を改善すれば良いのでしょうか。  まずは食塩の制限です。食塩の過剰摂取が高血圧の原因となる事はよく知られています。日本人はかなり塩分を好む民族です。本邦における平均食塩摂取量は1日に10gを超えており世界的に見てもかなり多くなっています。日本の高血圧治療ガイドラインでは減塩目標を1日6g未満としています。1日6gの食塩制限はかなり厳しいですが味覚は徐々に慣れてきて、むしろ本来の食材の旨味を感じてくるようになると思います。

ちなみにアラスカに住むエスキモーの平均食塩摂取量は1日4gで高血圧患者がほとんどいないそうです。次に運動療法です。生活習慣病の予防や治療にはウオーキング(脈がやや速くなる程度の速歩)のような有酸素運動が推奨されます。これにダンベル運動やストレッチ運動を組み合わせると効果的です。運動は定期的に毎日30分以上を目標に行なって下さい。

飲酒、喫煙の害理解して

前回に続き生活習習慣の改善のポイントをお話しします。コレステロール値を適正に保つ事が大切です。高コレステロール血症の原因は過食、高脂肪食、運動不足やそれに伴う肥満があげられます。従って高コレステロールを防ぐには食生活を適正に保ち適当な運動をする事が大切です。

食事のポイントとしては1.偏食せずバランスの良い食事を摂取する。2.過食をせず適正な体重を保つことです。肥満者は体格指数(BMI:体重[Kg]÷身長[m]2)で25未満を目指しましょう。大量の飲酒は血圧を上昇させ脳卒中や心筋障害の原因となります。また、肥満の原因ともなります。エタノール換算で男性20〜30ml(日本酒1合、ビール中ビン1本、焼酎半合弱、ウイスキー•ブランデーダブル1杯、ワイン2杯弱に相当)、女性は10〜20ml以下が良いでしょう。

喫煙の有害性に関しては良くご存知だと思います。喫煙は動脈硬化を強力に促進し心疾患や脳卒中などを引き起こすだけではなく、癌を引き起こす原因となります。またその害は喫煙者本人のみならず、受動喫煙により周囲の非喫煙者にも及びます。社会情勢も喫煙者に対し厳しい環境となってきていますのでぜひこの際に禁煙される事をお勧めします。