COPD(シーオーピーディー)とは、以前は慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていた疾患で、原因は喫煙です。タバコの煙に含まれる有害物質が気管支や肺胞を障害することにより肺機能が低下し、慢性の咳や息切れなどの呼吸器症状が出現します。COPDの推定患者数は日本で500万人以上とされていますが、診断されている患者数はその10分の1以下です。その理由として社会における認知度の低いことや初期には症状が出にくいことなどがあげられます。現喫煙者や既喫煙者には肺機能検査を受けられることをお勧めします。一秒間に吐ける息の量(一秒量)が指標となり、一秒率(一秒量÷肺活量×100)が70%以下になるとCOPDと診断されます。
最近ではハイチェッカーなどの簡易型呼吸機能検査機器の普及もあり、多くの医療機関で検査が受けられるようになりました。最近では性別、年齢、1秒量から肺年齢が計算でき、自分の肺機能が何歳程度であるかわかるようになりました。50歳の男性で1秒量が2.5Lと言われるよりも、肺年齢が87歳というように言われれば、分かり易いですね。自分の肺年齢を知ることにより、COPDの早期発見や早期治療が可能となります。胸部X線検査やCT検査もCOPDの診断に役立ちます。
COPDは喫煙者に発病しますので、COPDの予防には禁煙が一番です。最近では多くの医療機関に禁煙外来ができていますので、喫煙者は是非受診してください。呼気中の一酸化炭素濃度や肺機能などを調べ、ご自身の肺年齢を知って頂くと禁煙を開始する動機付けになります。禁煙補助薬なども適宜併用することにより禁煙の成功率は高くなります。COPDは進行すると、息切れが強くなり、階段が上れなくなったり、平地でも100mも歩けなくなります。
また、痩せ、筋力低下、足のむくみが起こります。タバコを控えて、薬物治療を受けることにより重症化を防ぐことができます。気管支拡張薬やステロイド薬を吸入することにより、肺機能の悪化を防ぎ、症状を改善することが可能です。重症患者さんでも栄養療法や呼吸リハビリにより生活の質を高めることができます。実年齢ではなく、肺年齢が高くなったことが息切れや疲れ易さの原因であることも多いのです。喫煙者は医療機関で肺機能をチェックして、肺年齢を知り、肺年齢をこれ以上高めないように医師より指導や治療を受けることが重要です。
最後に、COPDは肺癌や肺炎を起こし易くするばかりでなく、骨粗鬆症、循環器疾患、糖尿病、鬱病など肺以外の合併症も増加することが知られていますので、注意が必要です。