保健の窓

夏に多い皮膚疾患

鳥取大学医学部附属病院皮膚科 山田七子

雑菌や真菌感染に注意

夏に多い皮膚疾患にはいろいろなものがあり、感染症や虫による皮膚疾患が代表的です。

「感染症」のうち、「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」は細菌(特に多いのは黄色ブドウ球菌)が原因で起こり、「とびひ」という名称で広く知られています。破れやすい水ぶくれが次々にでき、水ぶくれの中が黄色く濁ってきます。抗菌剤の内服と外用治療を行いますが、治療の開始と同時に家庭で患部を石鹸の泡とシャワーでしっかりと流し清潔なガーゼで保護をすることも薬物治療の助けになります。

「足白癬(あしはくせん)」は皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)という真菌によって起こります。「みずむし」として広く知られており、足の趾間の皮膚の“ふやけ”や強いかゆみのイメージがありますが、足の裏に小さい水ぶくれを作るタイプや、かゆみはなく薄い皮が剥がれたように見えるだけの場合もあります。

「癜風(でんぷう)」はマラセチアという真菌によって起こり、汗をたくさんかく人に生じやすく、夏に多くみられます。体に淡い茶色や白い斑点が生じます。

足白癬も癜風も診断には直接鏡検法で原因の真菌(糸状菌・マラセチア)を確認し、抗真菌剤による外用治療を行います。

夏の虫刺されに注意

夏に多くなる、虫による皮膚疾患について解説します。

イエダニによる虫さされは、ネズミが生息する家で起こりやすく、わきや下腹部、太ももなど薄く柔らかい皮膚に痒みの強い赤いぶつぶつがでます。

野山で咬まれる機会があるのはマダニです。人に咬みついて吸血し、スイカの種のようにふくれ、そのまま皮膚に付着します。マダニは「日本紅斑熱(にほんこうはんねつ)」や「ライム病」という病気の病原体を媒介することがあり、この場合には吸血されて数日してから発熱や発疹、肝機能障害が出現します。

ハチ刺されでは、刺された部位に痛みや赤い腫れが出現しますが、それ以外に様々なアレルギー反応が起こる場合があります。一番注意が必要なのは、刺されて30分から1時間くらいで全身にじんましんが出たり、喉の奥が腫れて息苦しくなったりする場合です。このような時は、医療機関の救急受診が必要です。刺される回数が増すとアレルギー反応は強くなりますので気をつけましょう。

その他、カ、ブユ、ネコノミ、トコジラミ、ヌカカによる虫さされ、ドクガ、チャドクガ、イラガなどによる毛虫皮膚炎もあります。虫によっては、秋に活動が活発になりますので注意が必要です。