保健の窓

リハビリテーションとは

清水病院 リハビリテーション科 橋本弦太郎

高齢化社会で高まるニーズ

 リハビリテーションと聞いて皆様はどのようなイメージを持たれるでしょうか?プロスポーツ選手が靭帯損傷の手術をして、復帰に向けてリハビリを開始したなどとニュースで見かけることがあるかと思います。骨折などをして病院でリハビリを受けられたことのある方もいらっしゃるかもしれません。 リハビリテーション(rehabilitation)とは、様々な病気や外傷による障害に対して診断・治療をしていくもので、その語源はre(再び)+ habilis(適合する)、つまり再び適した状態に戻すという意味を持ちます。その対象となる障害は先に挙げたような怪我や骨折に限らず、脳出血や脳梗塞、心臓疾患、呼吸器疾患、神経疾患など、ありとあらゆる疾患が原因となりえます。さらにその障害は身体的な機能の問題に限らず生活面の問題や社会参加や就労などの問題も含まれてきますし、そのアプローチ方法も機能訓練に限らず、杖や装具の使用を調整したり、住環境を整備したりと多岐にわたります。 リハビリテーションは、ありとあらゆる疾患が原因で以前できていたことができなくなってしまった方々を様々な方法で助けとなります。そして、そのニーズは現代の高齢化社会において非常に高まってきています。

 

 

 

高齢社会における役割

 健康寿命という言葉をご存知でしょうか?健康寿命とは健康上の問題がなく日常生活を送れる期間のことです。日本人の健康寿命は2010年のデータで男性が70.42歳、女性が73.62歳です。平均寿命との差を計算すると男性は晩年の約9年、女性は約12年を日常生活に何らかの制限のある不健康な状態で生活をしていることになります。 不健康な状態の方々の中には、骨折をして歩くのが困難になってしまった方や脳梗塞の後遺症で半身に麻痺のある方、さらにはそういった障害が原因で寝たきりになられてしまっている方などもいます。転んで骨折をして以来、歩くのに痛みがある。そのせいで外出頻度が減る。趣味のカラオケにも行けない。どんどん筋力が落ちてきて、徐々に歩けなくなってしまい、寝たきりになってしまう。ご高齢の方々にとってこのような話は決して他人事ではないかもしれません。 趣味を楽しむ。美味しいものを食べる。友人と語らう。リハビリテーションは人が健康で豊かな生活を送り、人生をまっとうするためのサポートをするものです。病気や怪我が原因で以前できていたことができなくなってしまったなどの悩みのある方は一度リハビリ科医に相談していただけたらと思います。