保健の窓

リウマチを知ろう

鳥取赤十字病院第二整形外科部長 高須宣行

 

関節リウマチは、多くの関節に痛みとこわばりを伴う30~40歳の女性に多く発症する病気で、日本全国に60~70万人の患者さんがいると推定されています。進行すると関節の軟骨や骨を破壊し関節の変形を引き起こしてきます。原因は、はっきり解明されていませんが免疫機構の一部が破綻したために起こる事が分っています。しかし、早期に診断され適切な治療を開始すると病気の進行が抑えられるようになってきました。

診断は、血液検査と臨床診察で行います。しかし、発病初期だと診断がつけにくい場合があり、2~3ヵ月かかることがあります。初期症状は、朝のこわばり(朝起きた時の手の関節の動かしにくさ)・手首の関節の腫れ(対称的)のことが多いです。65歳以上の方では、肩関節・膝関節の痛みで発症することが多くなります。よく似た病気としては、腱鞘炎・変形性関節症・手根管症候群・肩関節周囲炎(五十肩)などがあり、鑑別を要するため血液・レントゲン検査が必要となります。他にも関節外症状として発熱・全身倦怠感があり内科的な病気との鑑別が必要となります。また、血液検査でリウマチ反応が陽性だからといって必ずしも関節リウマチとは言えません。関節リウマチでない人でも約10~15%でリウマチ反応が陽性となります。リウマチの薬は重篤な副作用がある場合があるので診断が確定しないと投与できません。そのため、上記の症状が1ヵ月以上持続する場合は早期診断のため専門医を受診した方がいいと思います。

関節リウマチの治療は、薬物療法・手術(進行した場合)・理学療法があり、診断がつくと薬物療法が行われます。

薬物療法

リウマチの薬は大きく分けて抗炎症薬(痛みを軽くする)と抗リウマチ薬(リウマチの進行を防ぐ)の二つがあります。この両者を併用して治療します。特に抗リウマチ薬を早期に使用することにより関節破壊を押さえる可能性が高くなっています。ただし、抗リウマチ薬の特徴として①効果の発現が遅い(1ヵ月程度)②効く人と効かない人がいる③重篤な副作用などがあり、慎重に投与しなければいけません。現在、いろいろな薬が開発され実用化されています。今後もますます研究が進むものと思われます。

理学療法

痛いからといって関節を動かさないでいると関節が固まります。翌日に痛みが残らない程度に1日2~3回全身の関節を自宅で動かすようにしましょう。また、日常生活では特に制限を設けませんが何事にも積極的に参加し、身体全体を使うように心掛けましょう。

手術療法

関節の破壊の程度に応じて種種の手術があります。初期~中期で関節変形が軽度であれば滑膜(関節の中の膜)切除を行います。関節リウマチは滑膜の腫脹を介して関節を破壊するので変形が予防できます。進行し関節破壊があると人工関節置換術(股・膝)や関節形成術をしなければならなくなります。人工関節置換術は壊れた関節を人工(金属とプラスチック)関節で取り替えるので痛みは取れますが少し関節の動きが少なくなります。これらの手術でおおむね痛みが軽快しますが、関節リウマチは進行性の病気であるために抗リウマチ薬の投与はずっと続けなければいけません。