保健の窓

メタボを予防改善

よしだ内科医院・鳥取県医師会理事 吉田眞人

脳・心臓疾患にならないために

日本人の死因はガンに次ぎ、心疾患と脳血管疾患が2位3位を占めます。その主因となるのが、“メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)”です。国は増え続ける医療費を減らす対策として、21世紀の国民健康づくり運動『健康日本21運動』を展開し、予防に力を入れる方針を出しました。それが、2008年4月より始まった特定健診・保健指導の実施義務です。その中心となるのがメタボリックシンドロームの予防改善です。

一般にはメタボと言う言葉は肥満の代名詞のようになっており、病気としての本質が理解されていないように思われます。メタボリックシンドロームは、『内臓脂肪型肥満』に加え、『高血糖・高血圧・血清脂質異常』のうち2つ以上を併せ持つ状態を言い、動脈硬化の原因となります。内臓に溜まった脂肪細胞からさまざまな生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌し、インスリン(ブドウ糖をエネルギーに変えるホルモン)の働きを低下させ、インスリンが効きにくいからだの状態(インスリン抵抗性)を作ります。これにより、高血糖・高血圧・血清脂質異常など複数の異常が同時発生し、心筋梗塞や脳梗塞など重大な事態を招きます。

一無・二少・三多で解消

メタボ解消の健康習慣として、一無(無煙)・二少(少食・少酒)・三多(多動・多休・多接)の6つの健康習慣が提唱されています。すなわちタバコを吸わず、腹八分目の食事をし、お酒を控えめにし、体をよく動かし、よく休み、多くの人・事・物と接して良い刺激を受け、悩みがあれば人に相談し、趣味や好きなことでストレスを発散し、前向きで創造的な生活を送るというきわめて当たり前のことです。

しかし実際に6項目すべて実践することは難しく、日本人9554名を対象に7年間追跡調査したところ、平均実践数は3.6項目で、一つも実践できていない人の21%にメタボリックシンドロームがあり、実践数が増えるごとにその割合が減り、6つの健康習慣全部実践できている人のメタボリックシンドロームは7%と1/3に減少していたことが報告されています。肥満を改善する為、食事内容のチェックをし、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品などのバランスを良く考え、食事ノートを付け、食べる食品のカロリーをチェックする習慣をつけましょう。また、内臓脂肪をよく燃焼させるウォーキングやジョギング、スイミングなどの有酸素運動が勧められます。

2月16日にはこれらの内容を健康会館でお話したいと思います。