保健の窓

サプリメントを上手に

鳥取大学医学部薬物治療科教授 長谷川純一

利用法と注意点

世はまさにサプリメントブームで、新聞、雑誌、テレビにラジオ、インターネットにはサプリメント情報が溢れています。「サプリ」という略称まで市民権を得ており、老若男女ご存じない方はいらっしゃらないでしょう。しかし、多くの方は、健康食品、栄養補助食品、保健用食品など何がどう違うのかよくお分かりではないと思います。漠然と身体によい食品とお思いなのではないでしょうか。広告の中には、科学的な情報提供もありますが、行間を読ませるものが多く、「試してみればわかる」と、効果不明のものもあります。古来より「医食同源」といわれ、薬理作用のある食品成分が薬として利用され、科学の進歩とともに有効成分のみを抽出、合成し、医薬品として病気の治療に利用されてきました。近年の健康ブームで、店頭には年商200〜300億円のヒット商品がたくさん並んでいます。通信販売や、ネット通販のみで流通しているものも多く、不況知らずのようです。しかし効果が科学的に証明されているものばかりではなく、食品成分でも重篤な有害作用が出てしまう場合もあります。サプリメントの利用を考える際、何を目安に、どのようなものを購入すべきか参考にしていただければ幸いです。

健康状態をよく理解して

サプリメントといえど商品です。売れて初めて評価されるという問題があります。その点コマーシャルが重要です。印象深く、覚えて口ずさんでもらえれば、並んだ商品の中から選択される確率が高まります。私たちは客観的な評価がわからないと、感覚的に良さそうな物を購入してしまいがちです。一番のくせ者は、一見科学的な説明を並べ立てたコマーシャルです。専門家でなければ信じてしまいそうな程良く考えられています。これらも、「信ずるものは救われる」程度で、大きな問題がなければいいのですが、中には食品成分と医薬品の相互作用で、医薬品の作用を相殺してしまったり、増強し有害作用になってしまうことも少なくありません。ひどい場合は健康食品で生命に危険がおよぶ場合もあります。また、加齢とともに体内含量が減少することは、摂取必要量が増大することと誤解する方も多いようです。インターネットの情報も玉石混淆で、良心的なものは少ないようです。しかし、明らかに有用で、上手に利用したものもたくさんあります。いずれにしてもサプリメントを使用する場合は、個々人の健康状態をよく理解し、薬についても専門家である主治医の意見を参考にするのが良いと思われます。