保健の窓

サプリメントについて考える

鳥取大学医学部薬物治療科教授 長谷川純一

健康ブームで大ヒット

サプリメント、健康食品、健康補助食品など、似たような名前の食品摂取が流行しています。実際どれくらい役立つかの情報提供もありますが、「試してみればわかる」と、効果不明の広告もたくさんあります。古来より「医食同源」といわれ、食品成分のうち薬理作用のあるものが薬として利用され、科学の進歩とともに有効成分のみを抽出、合成し、医薬品として病気の治療に利用されてきました。

近年、医薬品と食品の中間で、効果が期待できるものを保健用食品として厚労省がお墨付きを与える制度ができました。これが、大衆の健康への期待とともに発展し、年商200~300億円のヒット商品がたくさん生まれました。この他、効果が科学的に証明されていないにもかかわらず、わらをもつかむ思いの患者に期待感を抱かせ高額な商品として売られている、いわゆる健康食品もたくさんあります。特にひどいものは薬事法違反等で摘発されていますが、上手に売り逃げているものも多いようです。

一方、食品成分でも命に関わる有害な副作用が出ることもあり注意が必要です。サプリメントの利用を考える場合、何を目安に、どのようなものを購入すべきか参考にしていただければ幸いです。

選ぶ時の注意点

身近なサプリメントに、スポーツドリンクがあります。運動により欠乏する水分を効率よく補い、同時に汗で失われる塩類やエネルギーも補う一石二〜三鳥を狙っていますが、あらゆる状況でスポーツドリンクが良い訳ではありません。欠乏しがちな鉄分やカルシウム、さらには線維質を補うサプリメントなど、これらはシンプルに不足を補う意味で利用すればよいでしょう。

一方、年齢が増すにつれ持病を持つ割合も増えますが、副作用が心配な医薬品は飲みたくなく、健康食品で何とかなればとの期待で利用される食品もたくさんあるようです。しかし中には食品成分と医薬品の相互作用(そうごさよう)で、医薬品の作用を相殺(そうさい)してしまったり、必要以上に増強してしまうことも少なくありません。ひどい場合は健康食品で生命に危険がおよぶ場合もあります。また、加齢とともに体内含量が減少することは、摂取必要量が増大することと誤解する方も多いようです。インターネットの情報も玉石混淆(ぎょくせきこんこう)で、良心的なものは少ないようです。

いずれにしてもサプリメントを使用する場合は、個々人の健康状態をよく理解し、薬についても専門家である主治医の意見を参考にするのが良いと思われます。