保健の窓

ガンマナイフとは?

西部医師会員 岡本久代

脳腫瘍に放射線集中照射

皆さん、もし、脳腫瘍ができてしまったらどうしますか。薬で治るのか、手術しないといけないのか、いろいろ気になりお悩みになることと思います。基本的には、次の3つの方法の中から組み合わせて治療します。切り取ってしまう方法(手術治療)、薬で大きくならないようにする方法(化学療法)、放射線をあてて縮める方法(放射線治療)です。いずれの治療方法も、究極の目標とするところは同じです。それは、腫瘍のみを攻撃して、正常組織には攻撃しないことです。例えば、手術では、正常臓器にダメージを与えないようにきれいに取るようにしますし、薬の場合は、効果は大きく副作用の少ないものを選びます。放射線の場合は、正常組織の被爆を抑えるように照射をするわけです。では、どのようにして正常組織への被爆を抑えるのでしょうか。それは、腫瘍に放射線を集中して照射すればよいのです。腫瘍には強い放射線があたって大きな効果が期待できますし、正常組織には弱い放射線しかあたりませんのでダメージが少なくなります。先ほどの治療目標にかなり近づいたわけです。そしてまさに、ガンマナイフはこのような照射方法を脳腫瘍に対して行うための機械なのです。

小さい腫瘍ほど有効

ガンマナイフは、脳腫瘍に対して、放射線を集中照射する機械です。強い放射線が腫瘍にあたりますので効果は大きなものになります。ガンマナイフ治療することにより、脳腫瘍が1ヶ月で消えてしまうものもありますし、一方、大きくならないだけの効果で終わってしまう場合もあります。腫瘍の種類により、放射線に対する反応に差があるためです。一般的に、悪性腫瘍の方が良性腫瘍よりも効きやすいです。放射線には、細胞の遺伝子に作用して、細胞が分裂せず消失していく効果、腫瘍を養っている血管をだんだん途絶させて、腫瘍をやせ衰えさせる効果もあるといわれています。ガンマナイフ治療により、数ヶ月以内という短期間に消失してしまうほどの大きな効果が期待できるものに、転移性脳腫瘍があります。当院でガンマナイフを受けられた方の7割がこの腫瘍です。そう大きくなければ、多発であっても治療はできます。しかし、脳を強く圧迫するほどの大きなものや、小さくても数十個もあるような場合には、ガンマナイフの適応にはなりません。小さい腫瘍の方が治療には有利です。転移の可能性がある場合には、たとえ症状がなくても、数ヶ月に1回は脳の検査も受けましょう。