保健の窓

まだまだ増えています大腸がん

おかだ内科 院長 岡田克夫

検診の受診が重要

 1981年以降がん死亡は日本人の死因第1位であり、高齢化の影響を差し引いた年齢調整死亡率でみても50年前と比較して男性で約2倍、女性で約1.5倍となっています。その中で大腸がんは女性のがん死亡の第1位であり対策が急がれるところです。ただし、大腸がんにかかる人数(罹患数)では2010年男性68,055人(肺、胃に次いで3位)、女性50,924人(乳房に次いで2位)と男性の方が多く、死亡数でも2013年は男性25,808人(肺、胃に次いで3位)、女性21,846人(肺をわずかに上回り1位)と男性がやや上回り、男性においてもがん死亡の大きな割合を占めています。鳥取県においても同様の傾向ではありますが、特に結腸がん(大腸がんは結腸がんと直腸がんを合わせたものです)の75歳未満年齢調整死亡率でみると全国平均がやや減少に転じているのに対し鳥取県では依然増加傾向にあります。大腸がんの罹患数は死亡数の約2倍であり、生存率が比較的高いといわれています。早期発見が死亡率減少に結びつきますが、大腸がんはかなり大きくなるまで自覚症状がありませんので、検診を受診していただくことが重要です。

 

 

 

 

無症状の時期での発見が重要

 大腸がんは、粘膜内に限局した早期がんであればほぼ100%近く治すことが可能ですが、かなり大きくなるまで自覚症状はありません。無症状の時期に発見することが重要となりますので、大腸がん検診として便の潜血反応を確認する方法が広く行われています。大腸に出来たポリープが大きくなると表面からわずかに出血することがありますので、この血液を便の中から検出します。大腸がんができるまで比較的長い年月を要するといわれていますが、大腸がんが出来たとしても常に出血しているとは限りません。毎年検診を受診することで出血をとらえる機会を増やし、少しでも早い段階で発見したいと考えています。便の潜血反応が陰性でも大腸がんが隠れている可能性はありますので血便などの症状がある時にはお近くの医療機関にご相談下さい。逆に大腸がん以外の出血を拾い上げる可能性もあります。精密検査として大腸内視鏡検査を受けていただいても痔疾患以外の所見が見あたらないこともありますし、潰瘍性大腸炎のように別の病気が見つかることもあります。今まで受診されたことがない方も、まずは一度大腸がん検診をご検討下さい。