保健の窓

こどもの予防接種って必要なの?

鳥取県医師会常任理事 笠木正明

予防接種の副作用って?

 予防接種直後に起きた事例で、「岐阜 日本脳炎予防接種後に男児急死」(NHK)、「日本脳炎:予防接種後に小5男児急死 岐阜・美濃」(毎日新聞)、ニュースや新聞の“見出し”です。これら“見出し”だけをみていると、予防接種することが不安になります。しかし、よく読むと「予防接種後に起きた」(=有害事象)と書いてあっても、「予防接種が原因」(=副作用(副反応))とは書いてありません。  「有害事象」とは、ワクチン接種と時間的に関連のある、好ましくなく、意図しない徴候、症状又は疾病のことであり、当該ワクチンとの因果関係の有無は問いません。一方、「副作用」とは、ワクチンと有害事象との間に、合理的な因果関係の可能性があることを指します。また、「有害事象」には、当該ワクチンと関係のない原因で起こる出来事、いわゆる「紛れ込み」も含みます。  このように、ワクチン接種後に起きた事象について、情報をどのように受け止めるか、どのように評価するのかを見極める必要があります。ワクチンの「真の副反応」をどう評価するかは、該当の病気に実際に罹患した時の状態と比較して考える必要があります。

 

 

 

 

日本、麻疹は「排除状態」

 本年3月27日、日本では麻疹は「排除状態」であるとWHO(世界保健機関)から認められました。麻疹は高熱や発疹などを特徴とする感染症で、感染力も強く、特異的な治療法はありません。肺炎などの合併症を併発して死亡することもある重篤な疾患です。日本では、2000年頃においても推定年間10万人以上が罹患している感染症の一つでした。 2007年から、麻疹が流行し、厚生労働省は「麻しんに関する特定感染症予防指針」を策定し、時限的に予防接種の対象者を中学生~高校生(第3期と第4期接種)に拡大するなどの施策を推進してきました。こうした取組の結果、2008年には11,013件あった麻疹の報告数も、2011年には442件と減少し、大規模な集団発生は見られなくなりました。 この3年間、ウイルスの遺伝子解析で日本由来の土着株による感染が確認されず、年間数百人の麻疹患者はいずれも海外から持ち込まれたウイルスが原因で、持続的な感染拡大は起きていません。これらのことをWHOが認め、日本が麻疹の「排除状態」であると認定され、これら結果は予防接種の効果だと考えられています。