保健の窓

かぜと肺炎―漢方治療も含めて―

川崎医科大学附属川崎病院内科部長 沖本二郎

1.かぜの予防

「かぜは万病のもと」であり、「おかぜをおめしになる」と敬語で呼ばれる唯一の疾患でもあります。

かぜの予防に良い方法はあるのでしょうか?残念ながら、インフルエンザの予防接種以外には有効な方法はありません。65歳以上の高齢者において、約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があります。

2.かぜの治療

かぜの対処療法には、漢方薬が有用です。

かぜの初期には葛根湯を、こじらせれば小柴胡湯を、長引けば補中益気湯を服用します。

インフルエンザと診断されれば、タミフルやリレンザという抗ウイルス剤が著効を示します。

3.肺炎

かぜをこじらせて、発熱が続いたり、膿性痰が出るようになれば、肺炎の可能性があります。高齢者では、発熱がなくても、食欲不振、元気がない、失禁などの症状があれば肺炎を疑って、かかりつけ医を受診しましょう。

4.オーム病

オーム、インコ、ハトなどの鳥から感染する肺炎です。鳥の排泄物に含まれるクラミジアシッタシが病原菌です。

5.レジオネラ肺炎

温泉に行ったり、循環式風呂に入った後に肺炎を発症すれば、レジオネラ肺炎を考えます。適切な治療を行わないと、急速に悪化し、死に至る危険性のある重症肺炎です。

6.Q熱肺炎

猫から感染する肺炎です。妊娠した猫の胎盤に病原菌がおり、分娩時に人に感染します。

今回のセミナーでは、以上の6項目を中心に、かぜと肺炎についてお話しをいたします。