保健の窓

自律神経

倉吉病院精神科 阪口周二

自律神経が健康の中心

 人間は緊張とリラックスのバランスが取れているときが最も健康です。緊張し過ぎても、リラックスし過ぎても調子を崩してしまいます。これを調節しているのが自律神経です。自律神経は健康にとって一番大切な働きをしているのです。


 自律神経は二つの神経からできています。交感神経と副交感神経です。簡単にいうと、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキです。ストレスに立ち向かって緊張したり、不安・興奮状態のときに働くのが交感神経。その反対にホッとしたときに強く働くのが副交感神経です。交感神経が働きすぎると、血圧と脈拍が高くなります。唾液が少なくなって喉がカラカラになったり、胃腸の働きが悪くなって食欲低下や便秘が起こります。血糖値が上がるし、血管が収縮して手足が冷たくなったり、肩こりがひどくなります。免疫力も低下するのです。


 副交感神経が働くと、これとは逆のことが起こります。でも副交感神経が働きすぎると、身体がだるくなってやる気がなくなったり、足がむくんだりします。その人に合ったバランスが大切なのです。この自律神経の働きに影響を及ぼすものは幾つかありますが、最も強く影響するのは精神状態です。

 

 

 

生き方のバランス調整

  精神状態が自律神経に及ぼす影響は大きいです。イライラして交感(緊張)神経が働きすぎることや、逆に気が抜けすぎることで心身の調子を崩すこともあります。ただ、精神状態をコントロールすることは、かなり難しいことです。性格を変えにくいことからも分かりますね。そこで、まずは行動を変えることから始めましょう。


 寝不足になると誰でも副交感(リラックス)神経が働かなくなります。だから自分にとって適切な睡眠時間を確保することです。呼吸にも気をつけましょう。緊張すると“息が詰まる”ようになって、深い呼吸ができなくなります。この場合は、息を長く吐いて“息抜き”をすることで、副交感神経が働くようになってきます。引きこもりすぎて交感神経が働かなくなっている人も多いです。このような方は体を動かし、人と会うことでバランスが取れてきます。笑うことは両方の神経のバランスを調えます。


 接する人の雰囲気や態度も大きく影響します。たとえば、医者がホッとさせてくれれば、それだけでも自律神経のバランスが調ってきます。治療効果が上がることにもなります。ご家庭や職場でも、良いコミュニケーションが健康につながるのです。