睡眠時無呼吸症候群は、10秒以上続く無呼吸が睡眠一時間あたり5回以上起こり、これにより日中の眠気などの症状があることと定義されています。
症状は、いびきをかく、無呼吸(息が止まる)、無呼吸の後あえぐような大きな呼吸や大きないびきが再開することが特徴です。また、寝相がわるい、寝汗をかく、夜中に何度もトイレに目が覚めるといったこともあります。また、無呼吸の間、体の中の酸素濃度が下がりますので朝起きた時に頭痛が起こる場合もあります。
受診から診断までの流れは、まず、いびきや無呼吸の有無、日中の眠気などについて、今までかかった病気、体系などについて質問されます。顎、顔面、頸部の骨格を調べられる場合もあります。
検査は、①指にセンサーを付けて血液中の酸素濃度と脈拍数を測定するパルスオキシメーター、②鼻呼吸のセンサー、いびき、胸部あるいは腹部の動き、血中酸素濃度、脈拍を測定する簡易睡眠検査、③脳波、鼻呼吸センサー、いびき、胸腹部の動き、血中酸素濃度、脈拍、筋電図、心電図を測定するポリソムノグラフィーの3つがあります。
睡眠時無呼吸症候群を治療する目的は、症状を改善させることだけではなく、睡眠時無呼吸による合併症を防ぐことです。
主な合併症には、高血圧、糖尿病、不整脈、心筋梗塞、心不全、脳梗塞があり、命に係わる場合もあります。睡眠時無呼吸症候群の患者さんにおける高血圧は健康な人の1.37倍、脳卒中・脳梗塞は健康な人の3.3倍、夜間の心臓突然死は健康な人の2.61倍ともいわれています。
また、睡眠時無呼吸症候群による日中の眠気のため、交通事故や災害事故を起こす危険性が高くなります。睡眠時無呼吸症候群の患者さんの居眠りによる交通事故は、健康な人と比べると3倍高いという報告もあります。また、平成15年山陽新幹線居眠り事故も睡眠時無呼吸症候群が原因でした。
睡眠時無呼吸症候群を治療することで、これらの合併症、交通事故や産業事故を防ぐことができます。
治療はいくつかありますが、まずは、専門の医療機関を受診しましょう。本人が気づいていなければ、受診までは家族の協力が必要です。家族から受診をすすめてください。