皆さんは日ごろ、読書、パソコン、携帯電話、テレビを見る時、車の運転中、あるいは何気ないひょうしに眼のかすみを感じることはありませんか?その眼がかすんだ時には、すぐに眼科を受診せず、とりあえずマバタキしてみる、眼をこすってみる、目をつぶってみるなどでしばらく様子を見てはいませんか?また、歳だからしょうがないと放置してはいませんか?実際に眼科外来を訪れる患者さんの「かすみ眼」の原因は様々です。単に眼鏡が合わない、眼が疲れているだけなど、それほど問題にならないケースもあるのですが、中には眼球内に重大な病気を抱えている場合もあります。また、受診される患者さんの訴えは眼のかすみでも、その症状の訴えが適切ではなく診断に迷うこともあります。
そこで、眼科に行く前にその「かすみの起こり方(①片眼か、両眼か②急にか、徐々にか③ずっとか、時々か④白目の赤さや痛みを伴っているかなど)」や「かすみの内容(①眼が見えないのか②眼がうるむのか③眼の中に動くものがありさえぎるのか④まぶしいのかなど)」をご自身で把握して眼科医師に伝えると、より早く適切な診断が下せると思います。
眼は平均して直径約24ミリの小さい球形の組織ですが、日常の情報の約8割はここから得られると言われます。また、眼は後方にある視神経を通して脳とつながり、眼の底の血管が直に見えることなどにより、体の色々な病気の情報も提供してくれます。そのため、眼のかすみを訴えて眼科受診された患者さんの中には、脳腫瘍、脳梗塞による視神経や視野の障害や高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病による眼底血管の詰まりや出血などで眼が障害されかすみの原因になっていることもあります。眼はカメラと構造が似ています。カメラも長く使っていればいろいろな部品が傷んできますが、眼も加齢が原因で同様に部分的に故障を起こしてきます。
たとえば、カメラのレンズに相当する水晶体が濁る白内障や眼の中の水分がよどんで生じる緑内障、眼の底にあるカメラのフイルムに相当する網膜がはがれる網膜はく離などもかすみの原因となります。
また、近年注目されている網膜の中心部(黄斑部)が障害される黄斑変性と言う病気でも眼がかすみ、歪みを生じます。このように眼のかすみの原因には様々なものがあります。