鳥取県では、昭和46年に「鳥取県健康対策協議会」、昭和62年に「健康県づくり県民運動推進会議」を設置するなど、全国に先がけて健康づくりに取り組んできました。しかしながら、近年、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病の増加、高齢者の増加に伴う痴呆や寝たきり状態の人の増加など健康に関する新たな課題も増加しています。
そこで、鳥取県では、「健康とっとり計画」を平成13年6月に策定しました。この計画は、みなさんの積極的な健康づくりの取り組みを推進し、行政や関係機関などが社会全体としてみなさんの取り組みを支援しようとするものです。
この計画を参考に、みなさんも健康づくりに取り組みましょう。
県民のみなさん一人ひとりの生活習慣を改善することで、壮年期死亡を減らし、痴呆や寝たきりにならないで生活できる期間(健康寿命)を延ばし、生活の質を向上させることを目的としています。
本計画は、平成22年(2010年)度を最終年度とする10か年計画です。
次の6分野ごとに健康づくりの目安となる具体的な目標を設定しています。
なお、数値目標の設定のない項目については、今後、目標値の追加設定や見直しを行っていきます。
指 標 | 現 状 | 目標(2010年) | ||
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健康水準の指標 | ||||
適正体重を維持する者を増やす | 肥満者※1 | 児童・生徒(一) | 減らす | |
男性(30~60歳代)22.8% | 14%以下 | |||
女性(50~70歳代)28.2% | 22%以下 | |||
低体重の者※2 | 女性(20歳代)26.5% | 17%以下 | ||
貧血の者※3を減らす | 女性17.5% 高齢者14.6% | 10%以下 | ||
ストレスを感じた者を減らす | 男性68.0% 女性75.3% | 減らす | ||
睡眠による休養を十分とれていない者を減らす | ||||
県民の行動実践指標 | ||||
朝食を欠食する者を減らす | 児童・生徒16.9% 幼児(-) | 0% | ||
成人男性 18.1% | 10%以下 | |||
食塩摂取量(1日あたり)を減らす | 男性13.8g 女性12.5g | 10g未満 | ||
脂肪エネルギ-比率(1日あたり)を減らす | 20~40歳代 29.8% | 25%以下 | ||
野菜の摂取量(1日あたり)を増やす | 274.8g | 350g以上 | ||
カルシウムに富む食品の摂取量(1日あたり)を増やす | 牛乳・乳製品 | (成人)102.6g | 130g以上 | |
豆・豆製品 | 76.2g | 100g以上 | ||
緑黄色野菜 | 94.9g | 120g以上 | ||
適正体重の維持に努めている者を増やす | 15歳以上(-) | 90%以上 | ||
1日最低1回以上きちんとした食事とる者を増やす | 62.0% | 90%以上 | ||
1日の歩数※4を増やす | 成 人 | 男性7,138歩 | 8,200歩以上 | |
女性6,276歩 | 7,300歩以上 | |||
高 齢 者(70歳以上) | 男性4,440歩 | 5,700歩以上 | ||
女性4,145歩 | 5,500歩以上 | |||
意識的に運動する者を増やす | 男性19.7% 女性20.1% | 30%以上 | ||
運動施設の利用者を増やす | ||||
運動好きな子どもを増やす | ||||
環境整備指標 | ||||
ヘルシーメニューを提供する店舗を増やす | ||||
外食や調理済食品の栄養成分表示をする店を増やす | ||||
運動教室・指導者を増やす | ||||
スポーツ少年団等参加者を増やす | ||||
健康や栄養に関する学習の場や自主グループを増やす | ||||
こころの健康づくりを視点にした健康教育の場を増やす |
指 標 | 現 状 | 目標(2010年) |
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健康水準の指標 | ||
健診有所見者の割合を減らす | 市町村基本健康診査結果 | |
糖尿病 14.3% | 10%以下 | |
高血圧 27.0% | 20%以下 | |
境界域高血圧 10.6% | 10%以下 | |
高脂血症 33.6% | 30%以下 | |
糖尿病受診者数を減らす(1月あたり) | 通院 延7,482人 入院延 341人 | 減らす |
がん発症者率を減らす | 年齢調整罹患率・人口10万対 | 減らす |
胃がん 男性97.0 女性46.8 | ||
結腸がん 男性54.2 女性28.6 | ||
直腸がん 男性25.0 女性10.7 | ||
肺がん 男性62.4 女性20.3 | ||
肝臓がん 男性40.8女性11.0 | ||
検診によるがん発見者のうち早期がんの割合を増やす | 市町村がん検診 | 増やす |
胃がん 75.3% 大腸がん71.2% 肺がん(-) | ||
標準化死亡比※5を減らす | 脳卒中 男性110.6 女性110.3 | 減らす |
胃がん 男性107.7 女性111.7 | ||
大腸がん 男性101.4 女性 96.3 | ||
肺がん 男性98.7 女性 92.1 | ||
肝臓がん 男性106.5 女性103.0 | ||
県民の行動実践指標 | ||
高血圧・糖尿病・高脂血症などの予防に心がけている者を増やす | ||
健康診査の受診者(率)を増やす(市町村の行う各種健康診査) | 基本健康診査36.4% 肺がん検診36.5% | 50%以上 |
胃がん検診22.9% 子宮がん検診20.5% | 35%以上 | |
乳がん検診22.7% 大腸がん検診27.3% | ||
環境整備指標 | ||
市町村の行う集団健康教育の実施回数を増やす | ||
市町村の行う個別健康教育を受ける者を増やす | ||
乳がん自己検診法の教育を取り入れている市町村を増やす | ||
中小事業所のうち健診を行っている割合を増やす | ||
生活習慣病の者や予防のための自主グループの育成に取り組む市町村・医療機関を増やす |
指 標 | 現 状 | 目標(2010年) |
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県民の行動実践指標 | ||
未成年者の喫煙(喫煙率※6)をなくす | 中学2年 男子9.5% 女子4.5% | 0% |
高校3年 男子33.5% 女子21.0% | ||
妊産婦の喫煙をなくす | ||
禁煙指導を受ける者を増やす | ||
喫煙が及ぼす健康影響についての知識を持っている者を増やす | ||
「未成年者・妊産婦のいるところでは、たばこを吸わない」という意識の者を増やす | ||
環境整備指標 | ||
分煙を実施する施設を増やす |
公共の場17.6% 病院46.3% 診療所50.4% 歯科診療所45.5% 職場・学校・運動施設(-) |
100% |
禁煙指導を行う医療機関を増やす | ||
喫煙が及ぼす健康影響についての教育を実施している学校を増やす | ||
学校周辺及び分煙を進める施設での自動販売機を減らす | ||
禁煙・節煙を希望する者に対する禁煙支援プログラムを実施している市町村・事業所を増やす |
指 標 | 現 状 | 目標(2010年) |
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県民の行動実践指標 | ||
未成年者の飲酒(飲酒率※7)をなくす | 中学2年 男子14.9% 女子10.2% | 0% |
高校2年 男子26.7% 女子20.6% | ||
多量飲酒者を減らす | ||
妊婦の飲酒をなくす | ||
環境整備指標 | ||
アルコール健康教育を増やす |
指 標 | 現 状 | 目標(2010年) | |
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健康水準の指標 | |||
〈予 防〉 | |||
寝たきり者を減らす | 65歳以上在宅 2.4% | 1.2% | |
脳卒中による寝たきり者を減らす | 65歳以上在宅 1.1% | 0.6% | |
脳卒中発症率を減らす | |||
脳卒中再発率を減らす | |||
大腿骨頸部骨折患者を減らす | (人口10万対)男性65.8 女性87.7 | 減らす | |
膝・腰痛患者を減らす | 膝関節痛3,000人 腰痛6,000人 | 減らす | |
65歳以上の自立期間(介護を受けないで生活する年数)を延ばす | 男性15.16年 女性18.74年 | 延ばす | |
〈自立支援〉 | |||
脳卒中患者で退院後の自立度が低下する者を減らす | 退院時一部自立の者※8 37% | 15%以下 | |
退院時準寝たきり者※9 21% | 10%以下 | ||
県民行動実践指標 | |||
〈予 防〉 | |||
高齢者で運動習慣を持つ者の割合を増やす(転倒防止) | 60歳以上 | 男性 38.2% | 50% |
女性 21.7% | 35% | ||
80歳以上 | 20.1% | 30% | |
〈閉じこもり予防〉 | |||
生きがいや役割を持つ者の割合を増やす | |||
趣味などで出かける者の割合を増やす | |||
〈自立支援〉 | |||
機能訓練など自立支援事業に参加する者を増やす | |||
介護について学習する者を増やす | |||
環境整備指標 | |||
〈予 防〉 | |||
骨粗鬆症健診をを実施する市町村を増やす | 14市町村 | 39市町村 | |
寝たきり予防教育を実施する市町村を増やす | 重点教育 31市町村 | 39市町村 | |
〈閉じこもり予防〉 | |||
保育所・小学校での世代間交流の場を増やす | - | 全施設 | |
〈自立支援〉 | |||
バリアフリーの公共的施設(適合証交付施設)を増やす | 74施設 | 全施設 |
指 標 | 現 状 | 目標(2010年) |
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健康水準の指標 | ||
自殺者を減らす | 160人 | 減らす |
県民の行動実践指標 | ||
こころの相談窓口を知っている者を増やす | ||
支援サービスを利用する高齢者を増やす | ||
環境整備指標 | ||
うつ病などの精神疾患への対応に関する健康教育の場を増やす |
指 標 | 現 状 | 目標(2010年) |
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健康水準の指標 | ||
自分の歯を有する者の割合を増やす | 80歳代で20歯以上 22.2% | 30%以上 |
60歳代で24歯以上 48.5% | 55%以上 | |
50歳代で25歯以上 69.0% | 75%以上 | |
30歳代で25歯以上 74.9% | 80%以上 | |
う歯のない者を増やす | 1歳6か月児 96.3% | 100% |
3歳児 65.3% | 85%以上 | |
むし歯罹患者率を減らす | 小学生 82.5% | 65%以下 |
中学生 84.7% | 70%以下 | |
高校生 91.3% | 85%以下 | |
1人平均う歯数を減らす | 12歳児(DMF歯数※10) 2.4歯 | 1歯以下 |
進行した歯周炎に羅患者している者 (4㎜以上の歯周ポケットを有する者)を減らす |
40歳代 31.2% | 20%以下 |
50歳代 46.5% | 30%以下 | |
県民の行動実践指標 | ||
定期的に歯石除去や歯面清掃を受ける者を増やす | 6.47% | 30%以上 |
定期的に歯科健診を受けている者を増やす | 8.27% | 30%以上 |
間食として甘味食品・飲料を1日3回以上飲食する習慣を持つ者を減らす | 8.7% | 減らす |
3歳までにフッ化物歯面塗布を受ける者を増やす | 16.2% | 50%以上 |
フッ化物配合歯磨剤の使用者を増やす | - | 90%以上 |
過去1年間に個別的歯口清掃指導を受けた事のある者を増やす | 6.01% | 30%以上 |
歯間清掃用器具を使用する者を増やす |
デンタルフロス 30歳代26.7% 40歳代17.1% 50歳代12.4% |
50%以上 |
歯間ブラシ 30歳代11.2% 40歳代17.8% 50歳代19.8% |
50%以上 | |
子どもの仕上げ磨きを毎日する保護者を増やす | ||
歯科健診や歯科治療を受ける歯科医(かかりつけ歯科医)を決めている者を増やす | ||
環境整備指標 | ||
定期的な歯科健診、フッ素塗布、保護者に対する歯科保健教育を実施するする市町村を増やす | 17市町村 | 39市町村 |
年2回歯科健診を実施している学校(CO、GO所有者に対する再検査を含む)を増やす | - | 増やす |
CO、GO※11の者へ個別指導を実施している学校を増やす | - | 増やす |
保護者に対する歯科保健教育を実施する学校を増やす | - | 増やす |
ふしめ歯科健診の実施市町村を増やす | 10市町村 | 39市町村 |
目標達成に向けて、一人ひとりが健康づくりの主体であることを自覚し、生活習慣の改善を実践していくことが必要です。そして、自らも家庭、学校、職場、地域での健康づくりの一員であることを自覚し、積極的に健康づくり活動に参加することも大切です。
また、県では、健康とっとり計画を効果的に進めるため、県民と県や市町村等の行政機関、地域、教育機関、職場、保健医療専門家、保険者、マスメディア、非営利団体、健康関連企業などの関係する団体で「健康とっとり推進会議」を設置しました。この推進会議では、目標達成に向けた継続的な取り組みを行いながら、目標の達成度や施策の評価、見直しなど計画の進行管理を行うこととしています。