健康ア・ラ・カルト

【14)骨・関節・筋肉】  1)腕・手・指のしびれ

質問

51歳の主婦です。5年ほど前から、体を横向きにして寝ると、上になった方の腕や手、指がしびれます(左右同じ)。だんだんひどくなり、最近では10分間も横になっているとしびれだし、手首から先の感覚がなくなり、物をつかむのも困難です。しかし、体をあお向けにするか、起きあがって2、3回こぶしを握ると、すぐに治ります。2カ月前からは、右手の薬指の腹が1日中しびれています。

1年前、整形外科で首から背中のレントゲン写真を撮ってもらいましたが、詳しい説明はなく、なぜしびれるのか、治療法、薬などがないものか、悩んでいます。

回答

◎早い時期に整形外科へ

寝ているときの姿勢によって、腕や手、指のしびれが出現し、最近では姿勢に関係なく、1日中右手の薬指がしびれるとの訴えのある方について、整形外科的立場からお答えします。

腕や手、指の神経は脊髄(せきずい)から左右に枝分かれし、7個ある頚椎(けいつい=骨)の間から、頚部の筋肉、鎖骨、ろっ骨の近くを通り、腋(わき)から上腕へ分かれ、指先へと連続しています。従って、その神経走行路のどの部分であっても、機械的刺激や循環障害があると、腕や手、指の痛みやしびれが生じます。

横に寝る姿勢だけで症状が出るのは、頚椎の配列がまくらの高さや形によって変化し、上になった方の神経を圧迫する状態になっている可能性があります。寝ているときの姿勢により出現するこのようなしびれや痛みは、下になっている方の腕や肩にでたり、またこの方のように、上になっている方だけだったりと、頚椎の姿勢により、また神経障害の部分により異なります。

原因となる疾患は、頚部の骨や軟骨の年齢的変化による変形性頚椎症、骨と骨の間にあり、クッションの役目をしている椎間板(ついかんばん)の突出による頚椎椎間板ヘルニア、胸部と頚部の移行部で神経や血管が筋肉や骨で圧迫される胸郭出口症候群、手関節の部分で神経が圧迫される手根管症候群などがあります。

治療は内服薬、注射、牽引治療、体操療法、頚部のカラー固定など、原因疾患により異なります。症状によっては神経、骨、血管などの詳しい検査が必要で、入院治療、手術的治療が必要な場合もあります。1年前に頚椎や胸椎のレントゲン撮影をしていますが、症状の増強も認められますので、なるべく早い時期に近くの整形外科を受診され、正確な診断、適切な指導、治療を受ければ、軽快するものと思われます。

(鳥取赤十字病院整形外科・福島 明)