健康ア・ラ・カルト

【21)こころの病気】  10)パニック発作

質問

27歳、男性。3年半ほど前に、不安、恐怖、動悸、過呼吸などパニック状態に陥り、気が狂いそうで医療機関に受診し、不安神経症と診断されました。心電図や脳波に異常はなく、セディールとトリプタノールを1日3回服用しています。今もうつ状態が続き、いつまたパニックが来るやら恐ろしくて外出も出来ません。この病気は完全に治るのでしょうか。

回答

◎パニック発作はきちんと治療すれば怖くない

パニック発作(パニック障害)は精神科や心療内科の外来でよく見られる病気の一つです。生涯有病率は1.5~3.5%とされていますので、決して希な病気ではありません。発症は若年成人期に多く、平均発症年齢は25歳ごろです。あなたのように、発作が怖くて外出もできない、次第に自信がなくなりうつ状態になる人もあります。統計によりますと、パニック障害のため二次的にうつ状態になる人は、29%におよぶといわれています。

パニック発作の治療は、通常薬物療法と心理療法を併用して行います。薬物療法は現在飲んでおられる抗うつ薬(トリプタノール)と抗不安薬(セディール)です。このほか最近では沢山の有効なくすりが開発されていますので、必ず症状を軽くすることができます。心理療法にはリラックゼーションによる筋弛緩療法や認知療法があります。それに日本で開発された内観療法も極めて有効であることが、私たちの研究で証明されています。現在鳥取大学医学部附属病院精神科では神経症、心身症、アルコール依存症などを内観療法で治療しています。不安神経症やうつ病も内観療法でかなり良くなります。希望を捨てずに前向きに治療に取り組んでください。

(鳥取大学医学部精神科・川原隆造)