健康ア・ラ・カルト

【20)女性の健康問題 等】  6)子宮内膜症

質問

30代前半で2児の母です。以前から月経が不順で量が多く、強い痛みを伴います。2年前に不正出血が続き婦人科を受診し、子宮内膜症(腺筋症)と診断を受けました。最近では月経時以外にも下腹部の痛みが強くなりました。ホルモン療法もあると聞きましたが副作用が心配で、今は痛み止めを服用しながら我慢しています。子宮内膜症について詳しく教えて下さい。

回答

◎内膜症は進行する病気

子宮内膜症は20歳後半から多く認められ、比較的頻度の高い病気です。子宮の中の膜(内膜)が本来あるべき所(子宮内腔=ないこう)以外の場所に存在する状態を言い、子宮の筋肉の中に認められるものを子宮腺筋症、卵巣や卵管および骨盤腹膜などの子宮以外の場所に認められるものを子宮内膜症と表現します。いずれの場合も月経周期に伴う変化は本来の子宮内膜と同じで、生理中には内膜症が存在する場所に出血を起こしてきます。この出血は逃げ道が無いために強い痛みの原因となり、次第にその場所にたまり子宮や卵巣が腫(は)れる原因となります。この変化が毎周期反復されるために腫れや癒着が段々と進行してきます。結婚前にこの変化が既に起こっていれば難治性の不妊症の原因となります。

治療は薬物療法と手術療法に大別されます。薬物療法で現在行われているものはダナゾール(内服薬)、ブセレリン(鼻腔=びくう=噴霧薬)リュープロレリン(注射薬)があり、いずれも4-6カ月継続して使用します。それぞれに利点(効果の違い)と欠点(副作用や費用)および限界があります。手術療法は内膜症の部位を固定または取り除く方法で、最近では卵巣や腹膜の病巣に対して腹腔鏡(内視鏡)とレーザーを使用して良好な治療成績が得られています。これらの治療はいずれも個人的な状況(子供の有無)や症状および進行状況による選択が必要で、医師と良く相談する必要があると考えます。

内膜症は進行する病気です。生理の量が増えていて生理中以外にも痛みや出血があるという点から考えると、かなり進行した状態や他の病気との合併が予測されます。早期の治療をお勧めします。

(鳥取市立病院産婦人科・清水健治)