健康ア・ラ・カルト

【21)こころの病気】  5)酒量が多く、体調が変

質問

27歳の主人のことで相談します。5年前から飲酒量が増え、毎日4合くらい飲んでいます。主人の父親はアルコール中毒になり、肝臓を病んで亡くなったそうです。主人自身そのことを気にしつつも酒量を減らせず、休肝日をとることもできないようです。

昨年の検診で、γ-GTP189単位で、精密検査を受けましたが「何ともなかった」と言って、今も飲酒を続けています。最近は疲れやすく体がだるそうです。

このまま飲酒を続ければ、どのような症状が出て、どのような病気に進むのでしょうか、教えて下さい。

回答

◎アルコールは薬物、過ぎると毒

お酒の主成分はアルコールという薬物です。一度に飲み過ぎると意識障害やおう吐などの急性中毒を起こし、毎日3合以上の飲酒が何年か続くと下痢、食思不振、体のだるさなどの慢性中毒が起こります。

慢性中毒の場合、アルコールとこれが代謝されてできるアセトアルデヒドは血液中にとどまり続け、全身の臓器に毒物として影響します。このことは生活習慣病である糖尿病や高血圧症とよく似ています。血中のアルコール濃度が高いと、とくに肝臓や胃腸、脳神経などの機能が障害されます。γ-GTPは、アルコール性肝障害のよい指標となり、70単位を越えていれば要チェックです。

ご飯やおかずを食べずにお酒ばかり飲むとビタミンB群が欠乏し、脳や末梢(まっしょう)の神経が損傷されます。また、アルコールは体の病気ばかりか、依存症という酒の適量がコントロールできない病気を引き起こす点に注意して下さい。隠れて飲酒するなどアルコールの飲み方がおかしいときは、家族が健康福祉センターの保健婦や専門の治療機関に相談する方法があります。

(渡辺病院精神科・山下陽三)