健康ア・ラ・カルト

【20)女性の健康問題 等】  2)不妊症の方の腹腔鏡

質問

36歳、女性。10年近くの間不妊症です。関西の不妊専門病院での検査でも原因はわかりませんでした。今は近くの産婦人科でクロミッドの内服とhCG注射を受けています。生理痛はほとんどなく、周期も安定しています。主人にも問題はありません。腹腔鏡検査をしていただくべきでしょうか。その有効性と危険性および受診機関を教えて下さい。

回答

◎検査だけでなく手術も可能

ご質問の内容から考えると、難治性不妊症と考えられます。ぜひ、腹腔鏡による精査をお勧めします。当院の統計では一般検査で異常の認められなかった方の70%以上に腹腔鏡による原因の発見が行われています。また腹腔鏡は検査のみでなく卵巣や卵管の異常に対して治療(手術)を行うことも可能で、卵巣嚢腫(のうしゅ)や卵巣被膜が肥厚するために起こる排卵障害(多嚢胞性卵巣や未破裂卵胞症候群など)、卵管癒着などに対して特に有効です。

最近では子宮筋腫も場合によっては手術可能となってきました。現在、腹腔鏡による手術は産婦人科手術の20%以上を占め、決して特殊なものではなく、危険性は用いる機械の進歩などにより急激に減少しています。以上のことより、原因が特定できない場合の不妊症治療では、少なくとも一般治療開始後2年以内には腹腔鏡を行った方が良いと考えられています。

鳥取県内で不妊症に対する腹腔鏡を行っている施設は、東部では当院(鳥取市立病院)、県立中央病院、鳥取赤十字病院、野口産婦人科クリニック、田口IVFレディースクリニック、中部では県立厚生病院、西部では鳥大医学部附属病院、みお産婦人科、博愛病院などです。

(鳥取市立病院産婦人科・清水健治)