健康ア・ラ・カルト

【18)小児の健康問題】  2)12歳男児の頭髪が薄く

質問

12歳の男児です。最近、頭髪が薄くなりました。以前にも同様の症状はありましたが、自然に治りました。今はまゆ毛やまつげも薄くなっています。どんな病気が考えられますか。

回答

◎発症は環境的心理的要因が

毛が薄いというだけではどんなタイプの脱毛かは分かりませんが、年齢を考慮すると、円形脱毛症かトリコチロマニア(抜毛癖)ではないかと考えます。まず残っている毛を軽く引っ張ってみて下さい。簡単に抜けるなら円形脱毛症が疑われます。

円形脱毛症にもいくつかのタイプがあり、よく見られるのは頭髪に限定した円形の脱毛斑(はん)ですが、時に、頭全体あるいは全身の毛が抜けるタイプもあります。抜けた毛を観察すると、毛根部が先細りになったり、白い球状になっています。

一方、トリコチロマニアは10歳前後の児童に多く、何らかの精神的衝動から自分で自分の毛髪を引き抜く病気です。頭髪だけでなくまゆ毛やまつげも引き抜くことがあります。毛の薄い所をよく観察すると、長さの異なる切れた毛が認められます。本人に尋ねても自分で毛を抜いていることを認めることはあまりなく、また、人前で堂々と毛を抜くこともありませんので、家族も抜毛行為に気付きません。

発症の背景には環境的あるいは心理的要因があり、これをよく理解し、解決しないと脱毛は治りません。時に精神科的治療が必要になることもあります。まず、皮膚科のある医療機関で診察を受けるのがよいでしょう。

(鳥取赤十字病院皮膚科・西浦清一)