健康ア・ラ・カルト

【13)がん】  9)前立腺がんの早期発見

質問

前立腺(せん)がんの早期発見には腫瘍(しゅよう)マーカー(PSA)の測定が重要だということですが、その詳細についてお聞かせ下さい。

回答

◎腫瘍マーカーの測定を

前立腺がんはアメリカ合衆国では男性に一番多いがんです。日本の胃がんに相当します。日本人が欧米なみの食生活になったことにより、2010年には前立腺がんは現在の4倍に増え、あらゆるがんのなかで最も増加が著しいと予想されます。

前立腺がんの早期発見には定期的に血液中の腫瘍マーカー(PSAあるいはPA)を測定することが一番大事です。腫瘍マーカーの検査により90%以上の正確さで早期のがんを診断することができます。55歳を過ぎたら症状がでる前に、集団検診や人間ドックで腫瘍マーカーを測定してもらいましょう。泌尿器科の病気以外で家庭医にかかっておられる患者さんも、ぜひ相談してみて下さい。結果は1週間以内にわかり、判定法も簡単です。

腫瘍マーカーが高い場合には泌尿器科専門医を受診し、生検といって前立腺の一部を細い針で採ってきて顕微鏡でがん細胞の有無を検査します。最近は、便利な器械が開発され、ほとんど痛みを感じません。検査時間は外来で、約10分です。

前立腺に炎症があったり、前立腺が大きく肥大していると腫瘍マーカーの値が高くなることがあります。この場合は、泌尿器科専門医とよく相談して生検をするか否かを決めるのがよいでしょう。

早期前立腺がんは手術によって治療します。治る率は95%です。

(鳥取県立中央病院泌尿器科・根本良介)