健康ア・ラ・カルト

【15)皮膚 等】  8)ケロイドの治療

質問

肩や胸にできたにきびの跡が大きく盛り上がり、ケロイドになりました。ケロイドには痛みやかゆみがあります。病院で切り取ってもらい、放射線治療を受けたこともあります。今はその場所は治ったようですが、ほかの場所に新たに出来てきました。

現在も治療中ですが、担当の先生からは良い治療法がないといわれます。何とかならないものでしょうか。

回答

◎いろいろな治療法

皮膚の傷跡が盛り上がり、ときに蟹(かに)足状の突起を生じるものをケロイドといいます。ケロイドは、かゆみや痛みなどの身体症状のほかに、外観の問題から精神的に悩むことも多い病気です。ケロイドは肥厚性瘢痕(はんこん)と真性ケロイドに分けられます。

肥厚性瘢痕は、数年後には平らになることが多いですが、真性ケロイドは小さくなることはありません。また、体質が関係し、明らかな傷がなくてもできることがあります。家族内で同じ症状がみられることもあります。質問のケロイドは真性ケロイドと考えられます。

ケロイドには、いろいろな治療法があります。外科的治療はケロイドを切り取ってしまうもので、一部の人では、ある程度の効果が期待できます。一方、手術前よりもケロイドが大きくなることがあるので、注意が必要です。放射線治療はケロイドの切除後に行われると、効果的といわれます。

圧迫療法は、スポンジなどを粘着テープ、弾性包帯、サポーターなどで持続的に圧迫する方法です。長期間の治療が必要で、暑い季節には、むれて不快になることがあります。

薬物治療には、ステロイド剤の局所注射、軟膏(こう)の外用、テープ剤の貼付(ちょうふ)などがあります。これらの治療を長期間おこなう場合には、ケロイド周囲の正常皮膚が薄くなったり、赤くならないように注意が必要です。

最近では、ある種の抗アレルギー剤の内服も行われます。しかし、真性ケロイドを消してしまうほどの強い効果はありません。

以上のように、ケロイドにはいくつかの治療法がありますが、残念ながら、すべての人に有効な治療法はありません。特に真性ケロイドの治療成績は、あまりよくありません。今後、安全で確実な治療法の確立が望まれます。

(鳥取赤十字病院皮膚科・西浦清一)