健康ア・ラ・カルト

【6)消化器疾患】  7)過敏性腸症候群

質問

最近、放屁(ほうひ)が多くて困っています。放屁しない時でも、おなかの動く音が気になります。過敏性腸症候群と言われたのですが、その他の病気の可能性はないでしょうか。また、その治療法について教えてください。

回答

◎過敏にならず専門医に相談

放屁は腸内のガスを体外へ排せつする自然現象です。腸管ガスの70%は空気を嚥下(えんか)する(飲み込む)ことにより生じますが、その他、腸内細菌による発酵によってもガスが発生します。

空気の嚥下が増加する疾患としては空気嚥下症・胃腸神経症などの心因性の病気がありますが、過敏性腸症候群・クローン病・潰瘍(かいよう)性大腸炎などさまざまな病気によって腸管ガスの排せつが障害され、腸雑音が高進する場合があります。また、発酵性食品の過剰摂取や過量の生のでんぷん・豆類の摂取で消化不良をおこして腸管のガスが増加し、放屁が増える時もあります。その他、膵(すい)炎・肝硬変・肺疾患など腸以外の病気でも腸内ガスの増加が見られます。

このように放屁の増加や腸雑音の高進には、種々の疾患の可能性があります。まずは消化器専門医を受診し、器質的障害がないことを確認したうえで心因性の病気の治療を行うべきと思います。過敏性腸症候群は心理的要因の関与も強く、精神安定剤の内服で軽快する場合も多く見られますが、放屁に対して過敏になりすぎないことが重要と思います。

(鳥取赤十字病院内科・小林恭一郎)